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【護衛艦「さわぎり」の母港、海上自衛隊佐世保基地。人を”資源”とする考え方をめぐる取材はこの護衛艦の搭乗員だった自衛隊員の自殺から始まった】

【護衛艦「さわぎり」の母港、海上自衛隊佐世保基地。人を”資源”とする考え方をめぐる取材はこの護衛艦の搭乗員だった自衛隊員の自殺から始まった】

第2章
密かに進む国家総動員計画と資源局
秘密主義の壁の中で

内閣の外局として発足した資源局には、勅任の長官の下、総務課、調査課、施設課、企画課が置かれた。各課の担当は以下の通りである。

総務課は資源の統制運用に関する制度と施設の研究、必要な法令の準備立案、人事・文書・会計。
調査課は資源の現況調査と戦時需給調査。

施設課は資源の培養助長、統制運用計画を遂行するための施設の設置。
企画課は資源の統制運用機関の整備計画、資源の補填や配当など統制運用の計画づくり。

資源局の初代長官には、賞勲局(勲位・勲章などの栄転に関する事項を扱う)総裁だった宇佐美勝夫が就任した。
しかし、資源局の設置を立案したのは、法制局参事官の松井春生であり、当初は総務・企画課長を兼任し、後に長官として資源局運営の中心的役割を担った。

調査課長には商工省の植村甲午郎(戦後、経団連の会長になる)が、施設課長には農林省の宮島信夫が就いた。
資源局の特異な点は、職員のほぼ半数を、陸海軍から出向してきた中佐・少佐クラスの軍人が占めていたことである。
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