左方に見える山のように積まれた書類の前で熱心に執務中の(と演出された)金正日総書記。下から上がってきた提議書にサインをして「方針」を下すことが金正日の大切な仕事である。言いかえれば、「芸術的」な提議書を作って金正日のOKサインをもらうことさえできれば、国をも動かすことができるというわけだ。(わが民族同士HPより)
左方に見える山のように積まれた書類の前で熱心に執務中の(と演出された)金正日総書記。下から上がってきた提議書にサインをして「方針」を下すことが金正日の大切な仕事である。言いかえれば、「芸術的」な提議書を作って金正日のOKサインをもらうことさえできれば、国をも動かすことができるというわけだ。(わが民族同士HPより)

 

北倉(プクチャン)18号管理所出所者の証言 12
「第18号管理所」事件

◆事件の発端「申訴事件」(承前)
申訴者を放っておいたら自分たちが危ないということをよく知っているXの一派は、検閲員がテープを手に入れて平壌へと戻るやいなや、テープの内容を吟味して、早速対策を立てることにした。
X一派の目標は、自分たちの秘密を握っている申訴者全員が処刑されるよう、あらためて情報を加工することに定められた。申訴者たちが将軍様に届けたテープの内容を、さすがに全否定するわけにはいかず、大筋をテープどおりにしながら、しかし政治的に大きな問題があった、という内容をでっちあげて、提議書を作り上げたのだ。

提議書を受け取った将軍様は、「管理所」から送られてきた申訴テープの内容と、X一派が作った提議書のストーリーが合致している上に、以前に自分が受けた報告とも矛盾がなかったため、「なんだ、やっぱりこいつらに問題があったのか。悪い奴らだ。こいつらを殺してしまえ!」と、その場で処刑を承認した。

一九九七年のある日、将軍様のこの一言で、数年間根気よく続けられてきた「管理所」内からの「一号申訴」事件は、あっけなく幕を閉じてしまった。明日にも平壌に戻れるとあんなに喜んでいた人たちは、突然管理所内から消えて、行方不明になってしまった。
私の知り合いの「隊内民」の話によると、将軍様の「方針」が出されると、国家保衛部から直ちに幌つきトラックが出され、銃殺を執行する軍人らが密かに「第18号管理所」へと送り込まれたという。

「管理所」内でも一番奥まった谷間にあり高い塀に囲まれた「教養所」内では、刑の執行区域に囲いが張られ、机と椅子を数個並べた即席の審判場がしつらえられた。「管理所」内でも、誰かを処刑するとなれば必ず見に来るよう指示されるものだが、今回のように「方針」に関連した審判は、他の建物からずっと離れた「教養所」のようなひっそりとしたところで人知れず執行される。

今回もやはり裁判官すらいない中、人目を避け隠れるようにして「一号申訴者」たちとその幇助者たちに審判が下されたという。
「一号申訴者」たち、すなわち高麗ホテルの支配人や烽火総局、第19安全部長たちは、処刑の前日、既にめちゃめちゃに殴られて手足の関節が全部へし折られ、口の中にも砂利が詰め込まれていた状態だったという。
審判は、死刑の宣告を伝達するだけの場で、裁判とは程遠いものだった。その中には「申訴」カセットテープを平壌まで運んだ若く義理堅い警備隊員もいた。

後日、「管理所」の幹部達が語ってくれた話では、その日処刑されたのは総勢一一名だったか、一九名だったかで、銃殺刑は、その場でわずか三〇分の間に執行されたという。
こうして、Xとその一味の不正腐敗の秘密を知る幹部たちは、瞬く間に全員殺されてしまった。その銃殺刑は極秘裏に執行されたため、銃殺された人たちの家族ですら気付かなかったという。
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