今でも朝鮮の全ての鉄道駅には金日成の肖像画がかかる。偉大な首領金日成同志万歳!(左)栄光ある朝鮮労働党万歳!(右)(2002年8月両江道 中国側から石丸次郎撮影)

今でも朝鮮の全ての鉄道駅には金日成の肖像画がかかる。偉大な首領金日成同志万歳!(左)栄光ある朝鮮労働党万歳!(右)(2002年8月両江道 中国側から石丸次郎撮影)

 

我が国の経済動向 11
改革をはばむ権力者の不正腐敗
石丸次郎:外部では、朝鮮に「変化がある」と見る意見と「変化がない」という意見に分かれているが実際はどうなのか?
ケ・ミョンビン:変化がないといえば語弊があるが、ではどんな変化があるのかというと、それはほとんど目に見えない程度だと言うべきかな。

変化の量的な兆しは少し見えるが、質的な兆しがないと言うべきか言うか、速度がとても遅いと言うべきか......。
一つの例をあげよう。一昨年(二〇〇四年)朴奉珠(パクポンジュ)総理が、前年からの試験過程を経て「新しい経済管理体系」を打ち出した。その「新しい経済管理体系」も約一年半の試験期間を経て二〇〇五年に入ると廃止になってしまったので、変化の余地は消えてしまった。

経済再建のために働こうとしない者たちが後ろで足を引っ張るようなことをばかりしていては、朴奉珠首相も仕事をやりとおすことができるだろうか。
もちろん経済改革も行わなければならないが、社会を改造する法改革みたいなものを、同時に十分に行わなければ、(経済の)改革開放はまともにできっこない。

また短時間で効果が現れる方法、例えば「海外労働の自由」なども併行させなければならないと思う。

石丸:古今東西、過渡期や混乱期には不正腐敗が蔓延するものだが......。
ケ:朝鮮がまさにそれだ。下の単位(組織)でややこしい状況が発生すると、その対策のために一時的な検閲方針(注1)が滝のように流れ落ちてくるのだが、その検閲を執行するんだと言って喜んでやってくる検閲員たちというのは、賄賂を吸い取って生きているヒルのようなやつらだ。そんなことは、今日では大衆の常識になっている。検閲はイコール贈収賄なのだ。

国家検閲員からして横領の王様なのだから、国家が現実を立て直すために対策を立てようとすればするほど、国家の財産は横領されて国家は損をするという構造になっている。
ひどい話だが、相手が干上がっていて賄賂をもらえそうにないような場合には、国家に損失が出ようが、企業に赤字が出ようがお構いなしに、上の幹部連中は数字をごまかしてでも、どうにかして金を懐に入れようとする。

例えば、どこかに建物を一つ建てるとする。知らない人が見れば、ただの記念碑がまた一つ建つんだろうっていうくらいに思うかもしれない。ところが実際には、建設工事なんていうのは、組織的な横領、強欲な浪費のための言い訳に過ぎない。一〇ウォンの建物を建てるのに一〇〇ウォン分の社会的財産、国家財産が浪費されてきた。
最近も企業所に独自の経営権を与えたなどと言っているが、内幕を言えば、その利潤は国家に入らず、全て腐敗した連中が個人で詐取してしまっているのだ。
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