住宅を買う際にぶち当たる二番目の壁は「購入手続き」だ。購入可能な気に入った住宅の情報をつかんだら、以下の手順を踏まなければならない。

1 区域(郡)の住宅配定課で住宅利用許可申請用紙(書類)の発行を受ける。
2 申請用紙に保安署(警察署)公民登録課の居住承認の判をもらう(当該保安署はまず、上級機関である保安局の承認を受ける。同時に申請者の居住資格、つまり職業、家族などについて確認し、しかる後に判を押す)。
3 区域(郡)保衛部(情報機関)の居住承認を受ける(一号道路(注1)周辺の住宅の場合は特に厳しい。保衛部は人民保安省公民登録局の住民登録簿と照らし合わせた後に、申請用紙に承認の判を押す)。
4 建物管理機関の承認を受ける(引っ越し先の建物の技術的安全状態の確認を受ける)。
5 建物がある地区の人民班の班長から承認の判をもらう。
6 建物がある洞の洞事務所事務長から承認の判をもらう。
7 確認の判が押された申請用紙を区域(郡)の住宅配当課に提出する。
8 申請用紙を区域(郡)都市経営部が審議、承認する。
9 申請用紙を区域(郡)建設部委員長が審議、承認する。
10 申請用紙を道(直轄市)都市経営局と建設部委員長が審議、承認する。

このような煩雑な手続きを経て、そもそもタブーである国家住宅の購入という行為を、一般住民が行うことは事実上不可能である。
つまり、この手続き自体が国家財産保護策となっているというわけだ。手続きのたびにいちいち賄賂を渡すことさえ、一般住民にとっては困難な構造となっている。

そこに、権力者らが闇の住宅市場に介入して、利権を確保する余地が生じるのだ。
国家による住宅供給構造と国家住宅売買統制が変わらないため、そこに目をつけた専門の仲介ブローカー(別名「家テコ」(注2)、彼ら自身が権力の手先でもある)が出現する。
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