「我が国は過剰人口で苦しんでおるが、一面からいえば、この過剰人口こそ我が国の尊き資源でもあるのであります。この人的資源を活用せずして、失業者を増大せしめるばかりでは、真の政治ではありません。政府の失業問題に対する根本的態度と具体的対策を承りたいのであります」

また、翌年5月14日の参議院建設委員会では、自由党議員の石川榮一が利根川開発に関連して、「遅れております日本の経済の困難を克服するゆえんは、人的資源と水資源との高度の利用以外にはない」と発言した。

その年6月1日の参議院文部委員会でも、社会党議員の矢嶋三義が吉田内閣の科学技術研究政策についての質問で、こう持論を述べている。

「我が国の、今後生きて行く途というものは、やはり生産増強を図らなければならないということがよく言われております。それには我が国は生産施設はあるし、また人的資源というものもあるわけでございますが、残る問題は適当なる原料というものを安く適時、的確にこれを確保するということが残った問題と思いますけれども、更に私は本質的には、この生産増強に携わるところの人の量の面もさることながら、質ということが非常に重大であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます」

このように「人的資源」を、経済復興のための開発や生産増強に必要な労働力、その担い手として位置づけ、活用・利用すべきものとして一括する考え方が、国会で次第に広まっていくのである。 ~つづく~ (文中敬称略)

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