こうした「政策提言活動」のひとつ、2006年『ACCJビジネス白書』の第11章は「人的資源」と題され、次のように書かれている。
「人的資源こそが経済における『付加価値』である。『人的資源』とは、人やその潜在能力を意味し、マクロ経済とミクロ経済の両方の側面を持つ。マクロ経済的な観点では、人的資源とは国の経済を支える人材の質や量を意味し、ミクロ経済的な観点では、ある組織における採用、能力開発、および管理の対象となる人員を指す」

米国では、「人的資源」とは人間そのものをも意味し、人間を資本・原料・資材・情報・技術力などとともに経済・経営の資源と見なしているようだ。
それは日本でも、「人材資源」といった言葉が「人的資源」と同じニュアンスで使われているように、ほぼ同様だと思われる。
「グローバル経済の一体化が進むにつれ、人的資源は国や企業の競争力と密接な関連を持つ。長期的に競争に勝つための各企業や国の能力は、人的資源の種類、利用可能性、および柔軟性と深く結びついている」

このように「競争に勝つため」の「人的資源の種類、利用可能性、柔軟性」を重視する在日米国商工会議所は、「厳しい競争およびコスト削減圧力に直面している企業にとっては、派遣労働者やパート労働者の活用は人的資源戦略の柱」だと指摘する。
そして、解雇紛争での金銭解決制の導入、ホワイトカラー・エグゼンプション、派遣労働対象職種の全面自由化、派遣期間制限の撤廃などを日本政府に要望している。

それらは日本企業の利益にも、米国企業の利益にも結びつくというわけであろう。~つづく~
(文中敬称略)

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