防衛庁(現防衛省)防衛庁(現防衛省)。イラク派遣自衛隊関連の民間企業技術者派遣が多かった当時は、まだ防衛庁だった。その後、組織を拡大して防衛省になる。

2 秘密性の高いテロ対策器材の現地整備
防衛省公表資料から8件の民間企業技術者派遣が抜け落ちていたのはなぜか。私は防衛省・自衛隊に質問した。

防衛省広報課から、防衛省・自衛隊において、この問題を防衛省経理装備局装備政策課を中心に調査・検討したうえでの防衛省見解として、回答が文書(平成21年7月30日付け)で届いた。その要旨は次の通りである。
「平成20年4月の小池議員への提出資料については、厚労省に対し『民間事業者がインド洋で仕事中、もし事故等に巻き込まれた場合、労災は適用になるか、労働安全衛生法は適用になるか』との説明要求があり、それとの関連で『テロ対策特措法、補給支援特措法、イラク特措法に基づく自衛隊の海外派遣で、装備品の修理等のために同行・派遣した民間事業者』について資料要求があった。
だから、国内の民間事業者が製造した装備品などについて、日本人、日本から出国、修理等の業務に直接従事する者、という3つの基準を全て満たす者を抽出して掲載することとした。
今回、開示された行政文書から特定された8件の事例は、その基準などに適合しなかったため、提出資料には掲載しなかった。

この資料を防衛省が小池議員以外に手渡し・公表した事実は確認できていないが、このような経緯とは無関係に、この資料が配布される可能性があったことは、当時においても否定できない。従って、資料上、上記のような基準等を明記しておくことがより適切であったと考えている」
しかし、この防衛省の見解には納得が行かない。

まず、「国内の民間事業者が製造した装備品などについて、日本人、日本から出国、修理等の業務に直接従事する者」という基準そのものが、非常に恣意的である。
そもそも、小池議員からの資料要求の内容は、『テロ対策特措法、補給支援特措法、イラク特措法に基づく自衛隊の海外派遣で、装備品の修理等のために同行・派遣した民間事業者』だというのだから、防衛省が述べる基準よりも幅広い想定に基づいている。

この基準は防衛省から手渡し・公表された資料に明記されておらず、資料を受け取った小池議員の秘書も、この基準に関して説明は聞かされなかったと、私の問い合わせに答えている。
また、防衛省公表資料から抜け落ちていた、5回の「コンテナスキャナ定期巡回整備」で、クウェートで整備に従事した技術者2人のうち、1人は日本人、日本から出国、修理等の業務に直接従事する者だったことは、技術者を派遣した日本の企業が認めている。それだけでも、すでに防衛省の説明は破綻している。

問題の防衛省公表資料は、今回の情報公開文書との比較で不正確さがわかるまで、防衛省から新聞記者に渡された例もあるなど、小池議員向けの資料として限られていたわけではなさそうだ。新聞記者に渡された際も、上記の基準について説明はされなかったという。
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