咸鏡北道にある茂山(ムサン)鉱山から中国に鉄鉱石が運び出される。世界屈指の埋蔵量を誇るが電力や技術の不足などから、北朝鮮はその価値を引き出せていない。(2007年8月 石丸次郎撮影)

咸鏡北道にある茂山(ムサン)鉱山から中国に鉄鉱石が運び出される。世界屈指の埋蔵量を誇るが電力や技術の不足などから、北朝鮮はその価値を引き出せていない。(2007年8月 石丸次郎撮影)

 

解説 金正日政権のデノミの真の狙いは何か 3  石丸次郎
韓・日における分析の概要
このような金正日政権のデノミ断行の「建前上の理由」に対して、その本当の狙いは何だったのだろう? 韓国、日本のメディアや専門家は、概ね次のような見立て並べた。

◎この間成長を続けてきた市場に対する取締り
◎とりわけ市場で金を儲けた「市場勢力」や「新興富裕層」に打撃を加える。
◎住民からの資金の回収
◎物価の安定化
◎改革開放の準備では?
一例として、デノミ実施から一週間後の韓国『中央日報』の記事(「時論 岐路に立たされた北朝鮮経済」)を引用しておこう。
[以下、引用]

北朝鮮はこの時点に、何の理由から、衝撃的なデノミを実施したのだろうか。何よりも国家の統制システムを強める狙いが感知される。北朝鮮は02年7月1日 の経済管理改善措置以来、部分的に市場経済を導入した。

賃金と物価を現実に合わせて大幅に引き上げ、通貨量を増やしていった。しかし物資供給が円滑でな く、深刻なインフレに苦しめられてきた。7年前に比べて物価は30倍以上も高騰し、労働者の平均月給3000ウォンでコメ2キロも買えない状況に至った。

事情がこうなると、中央当局の統制を抜け出した個人主義的な市場化の流れが広がった。住民は個人的な商売や副業を通じてお金を稼ぐことで生計を維持できた からだ。

「お金さえあれば何でもできる」という認識も広がり、不正腐敗が蔓延した。金儲けがうまい新興の資本家は権力機関を背負って途方もない富を蓄積 し、たんすの中に保管してきた。一言で「貨幣崇拝主義」が横行するようになったのだ。

金正日国防委員長をはじめとする首脳部はこうした状況に危機感を感じ た可能性がいつになく高い。これ以上黙過していたら、住民に公言した「2012年の強盛大国建設」も空念仏に終わると判断したのが確実だ。デノミという極 端な処方はこうした危機意識の産物と言える。

(二〇〇九年一二月七日付、日本語ウエブ版より[記事全文は、こちらのリンク先で読むことが出来ます])