「化粧品卸売り」
上の紙には工業品類として官服(将校服)、警保冬服、兵士服、帽子、革ベルト、鞄、背嚢などの軍用品が並ぶ。これらは主に除隊軍人が市場に流すものだが、丈夫で長持ちするので需要があるのだという。下の紙には大きく「化粧品卸売り」とある。美容に気を使いたいのは北朝鮮女性も同じ。

 

1.沙里院(サリウォン)市の「闇の卸売り商店街」[5]
2008年10月撮影
取材 シム・ウィチョン 解説 石丸次郎
上の写真の売り子の女性にシム・ウィチョンが話しかけた音声が記録されていた。
シム:化粧品についてちょっとお尋ねします。
女性:はい。何か入用ですか?

シム:いや、買わないですよ、尋ねるだけ。南朝鮮の化粧品はないんですか?
女性:南朝鮮の物は......、ありませんよ。

シム:それは嘘ですね。南朝鮮の物がないはずないでしょ。取締りがあるから無いって言ってるんでしょ。
女性:アハハハハ(笑)。それで何を買いたいんですか、お兄さん? お金持ちに見えるからよくしますよ。買ってくださいよ。

シム:買いませんよ。次回に買いますよ。ところで、一日にどれくらい稼げるんですか?
女性:いくらも稼げませんよ。ここでは私の商品と同じ品物がたくさん売られているからね。

シム:それでも、なんとか売って一日に一万ウォンぐらいは稼ぐんじゃないですか?
女性:一万ウォン稼げるならばいい方ですよ。

シム:化粧品はどんなもの扱っているんですか?
女性:ピアス(?)、クリーム、アイルラック(?)......、口紅もいろいろありますよ。買って行ってくださいよ。
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