このアパート(写真右)は、外壁工事が未完成でペンキも塗られていないが、ほとんどの部屋は入居が済んでいるようだ。(2008年7月平安南道 ペク・ヒャン撮影)

このアパート(写真右)は、外壁工事が未完成でペンキも塗られていないが、ほとんどの部屋は入居が済んでいるようだ。(2008年7月平安南道 ペク・ヒャン撮影)

 

闇取引される国家住宅、その価格はどれくらいか? 上
社会主義を標榜する北朝鮮で、国家住宅が堂々と個人の間で売買されており、その取引を仲介するコガンクン(斡旋屋の意、ここでは「不動産業者」)がいなくては、引っ越しもままならない。それが北朝鮮の不動産闇取引の実態だ、ということを、これまでリムジンガンで報告した。

さてそれでは、北朝鮮ではいったいどれくらいの値段で住宅が取引されているのだろうか?
北朝鮮の住宅は、日本の植民地時代に建てられた家屋などごく一部の例外を除いて、ほとんどすべて国家が建てたものなので、「不動産闇市場」で売買されている土地・建物の原価はもともとゼロであった(土地・建物はあくまで国家の所有物であり、闇で売買されるのはそれを使用する者を登録証明する「入舎証」である)。

国家財産、国民の共有財産が闇市場に横流しされているという点では、配給用食糧の横領も国家住宅の闇取引も根は同じであり、最初にそれを闇市場に売り飛ばした者は濡れ手で粟であった。

ところが近年、より広くきれいで使い勝手がよく、場所の便利な住宅を求める需要が旺盛になり、既存の住宅を個人が修繕・新装したり、投資によって新たな住宅を建てるケースが増え、北朝鮮にも「高級住宅」が生まれている。リムジンガン記者のリ・ジュンは次のように言う。

「『一万ドルアパート』というのが、かつて高級住宅の代名詞だった。ところが最近では権力者の周辺で金を儲けたトンチュ(金主、商売に成功した新興成金)たちが金を出し合って新しくアパートを建てて売るということが珍しくなくなっている。対象は高級幹部や同じトンチュたちだ。多くの場合、賄賂を使って権力機関に土地を提供させ、建設資材と労力は自分たちで調達して建てるのだ」。

最近では平壌(ピョンヤン)、南浦(ナムポ)などの大都市では一戸が二万ドルを超える「新築アパート」(注1)も出現しているという。
このように拡大する「不動産闇市場」において、住宅の値段はどれくらいで、どのような要素で決まるのかを見てみたい。リ・ジュン記者とシム・ウィチョン記者が北朝鮮内部で取材したビデオテープの中から、不動産の価格についての言及がある部分を取り上げ整理した。
(ここで言及される朝鮮ウォンのレートは、デノミ前の取材当時のもの)
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