▲写真は高校ラグビー大阪地区予選の決勝戦に挑む朝鮮高級学校チーム (2006年)。赤白ストライプのユニフォームが朝高の選手。この試合には敗退したが、高校サッカーでは全国大会出場を果たすなど強豪として知られる。撮影:アジアプレス

▲写真は高校ラグビー大阪地区予選の決勝戦に挑む朝鮮高級学校チーム (2006年)。赤白ストライプのユニフォームが朝高の選手。この試合には敗退したが、高校サッカーでは全国大会出場を果たすなど強豪として知られる。撮影:アジアプレス

朝鮮高校の授業料無償化の問題について考えていることを書きたいと思う。

朝鮮高校を授業料の無償化の対象とすることは、民主党と政府の方針となり、実現の方向に向かっているのは報道されている通りである。しかし、依然として無償化反対の意見が表明され続けており、産経新聞などの一部メディアは反対のキャンペーンを張っている。

反対論の主な理由は大きくはふたつ。(1)拉致問題に対する感情(2)独裁者崇拝や、拉致問題を歪曲した記述のある教科書を使うなど、酷い思想教育をやっている、というものである。

まず「拉致問題があるから」という理由について述べたいが、かつて北朝鮮政権が拉致犯罪を犯したことと、北朝鮮に住む民衆や日本に住む一般の在日コリアンとはなんの関係もない。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とはまさにこのことだ。なんと排他的な、なんと非寛容なことかと筆者は思う。

拉致問題解決に向け、金正日政権が不誠実な態度をとっている現状があるからといって、朝鮮総連を支持する人や、朝鮮学校の生徒や親をひとからげにして、法律や制度をもって規制する(あるいは排除する)というのは「制裁」である。

仮に朝鮮総連を気に食わないとか、道義的におかしいという感情が社会にあったとしても、それをもって教育上の制約や差を設けることは、人種、民族、思想信条による差別であり、憲法と国際法に違反することは明らかだろう。

一部政治家の対応には首をかしげたくなることが多かった。
橋下徹大阪府知事は、「拉致という不法行為を行っている団体と関係する施設とは、府はお付き合いしない」と言い、朝鮮学校の無償化除外を言い出した中井洽元拉致担当大臣は、「拉致をした国籍の人たちの教育」であり、「制裁をしている国の国民ということを十分考えてほしい」と述べていた。
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