朝鮮高校の教科書「現代朝鮮歴史」が筆者の手元にある。数ページに一度は金日成ー金正日の写真が出てきて、抗日闘争時期から今日まで、金父子がどれだけ立派に北朝鮮を建設してきたかが書かれている。

また、90年代の大飢饉の発生を、自然災害と帝国主義者たちの封鎖のせいだとしている。歴史を歪曲し個人崇拝を在日コリアンにも強いようとする醜悪な教科書だ。

筆者には、子供を朝鮮学校に通わせていたり、かつて通わせていた経験のある知人・友人が大勢いる。そのほとんどは、金父子万歳の教育にうんざりしている。

神戸で子供を朝鮮学校に通わせている韓国籍の知人は、思想注入が心配にならないかと問うと、
「大丈夫。『将軍様万歳』の授業にはうんざりさせられるけれど、政治や思想のことは家庭でしっかりフォローできる。子供も外で情報得るから、ちゃんとウソだとわかっている。だがやはり民族意識を涵養できる場として朝鮮学校は重要だ」と話してくれた。

もちろん、朝鮮学校では思想教育ばかりをやっているわけではない。数学も理科も英語も日本語も体育も音楽も学ぶ。
文科省は「日本の高校に類する教育」を無償化適用の判断基準にしているが、朝鮮学校では、独裁者礼賛教育をやっている一方で、日本の高校と変わらぬ授業もやっているのである。

朝鮮学校の授業料無償化を巡る議論を見ていると、反対派は思想教育や総連の支配という負の部分をクローズアップしようとする傾向が強く、一方の賛成派には、「除外は差別」ということは主張しても、醜悪な独裁者崇拝教育の問題点には触れようとしない態度が多い。

関心が高まっているこの機会に、朝鮮学校を無償化の内側に包摂しつつ、教育内容と学校の運営を改善していくにはどうしたらよいのか、タブーなく議論してほしいと思う。

筆者が推測するに、朝鮮学校に子供を送っている在日コリアンの親の過半は、金正日政権を支持していないし、総連の閉鎖体質にもうんざりしている。求めているのは、言葉や文化、歴史が学べる民主的、開放的、非政治的な教育の場なのである。

次回も引き続き朝鮮学校問題について論じたい。
平壌から「金正恩偶像化」の指示を受け、どうも総連の中から授業料無償化実現を放棄しようという動きか出ているようなのである。 (石丸次郎)
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