まず福田内閣の「拉致問題再調査合意」に立ち戻るべき
「民主党にがっかり」は、保革を問わず、すっかり日本のコンセンサスになってしまっている。
筆者もまた、失望している者のひとりだ。菅政権になっても、対北朝鮮外交になんら新しい展望を示せないでいることには、がっかりを通り越して腹立たしささえ感じている。

ただ、朝鮮半島政策ビジョンの長期不在は菅政権ばかりの責任ではない。振り返ると、日朝関係の停滞は、安倍政権以来4年以上も続いている。歴代内閣が最優先課題としてきた拉致問題も、結局、1センチも前に進まなかった。
外交は相手のあることであるから、思う通りに行かないものだとしても、結果が重要である。獲得目標を設定して、その実現のために硬軟様々な手を尽くし、成果を挙げなければならない。

ところが、安倍政権以来行われてきたのは「制裁によって譲歩を迫る」という圧力外交だけだといっていい。
その結果は?日朝関係はほとんどの分野で断絶。制裁もやりつくされて、もはや強化の余地もなくなってしまっている。

事態が膠着している間に拉致被害者家族の高齢化だけは確実に進んだ。横田めぐみさんの両親は70半ばを超えた。有本恵子さんの両親は82、84歳である。拉致問題の一義的な責任は、「解決済み」という不誠実な立場で一貫しきた金正日政権にあるのはいうまでもない。

だが、外交は前進してなんぼのもの。無為に時間ばかりがが過ぎてきたのであるから、「唯圧力外交」は失敗だったと総括すべきだ。その責任は、安倍政権以来の歴代内閣にある。

筆者はこの膠着状態から脱するために、まず福田内閣の「拉致問題再調査合意」に立ち戻るべきだと考える。
これは2008年8月の日朝実務者協議で、北朝鮮側による再調査と、日本の制裁一部解除を同時実施することで合意したもの。
結局は、福田内閣がこの年9月に総辞職したため霧散してしまったが。その後北朝鮮側は、日本の政権がころころ変わるために再調査やる気を見せず、日本では、拉致問題は後回しにされて、実務者協議ひとつ開けず現在に至っている。
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