黄海南道海州市の鉄道駅のそばに出現したバスターミナル。看板には平壌とあり、右のバスのフロントガラスには咸鏡南道の咸興と行き先が示されている。300キロを越す長距離の移動になる。(2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

黄海南道海州市の鉄道駅のそばに出現したバスターミナル。看板には平壌とあり、右のバスのフロントガラスには咸鏡南道の咸興と行き先が示されている。300キロを越す長距離の移動になる。(2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

 

「ウルリム会社」と「一一六機動隊」
北朝鮮で「サービバス」を運営している代表的な会社が「ウルリム(〝鳴る〟の意)会社」と「一一六機動隊」だ。「ウルリム会社」は軍部(人民武力部)が、「一一六機動隊」は警察(人民保安部)が運営しているとキム・ドンチョル記者はじめ、多くの内部の取材パートナーが語っている。

規模は「ウルリム会社」の方が大きい。これは人民武力部の「機動旅団運輸課」が仕切っており、本社は平壌市楽浪(ラクラン)区域統一(トンイル)通り勝利(スンリ) 洞にあったという。もともとは外貨稼ぎのための貿易会社だったものが、バスの運営も始めたのだそうだ。実際に「ウルリム会社」を訪ねたことのあるリ・サンボン氏によると、立派な建物であったという。

一九九九年頃、「ウルリム会社」は小さな規模で試験的に長距離バスを運行しはじめた。当時は中古の日本製バスを使っており、路線の種類も、バスの台数も少なかった。当時茂山(ムサン)郡に住んでいたある取材協力者は、「咸鏡北道の清津(チョンジン)市から茂山郡や会寧(フェリョン)市に向かうバスはウルリム会社が独占している」と、石丸次郎とのインタビューで語っている。

それが二〇〇一年から〇二年ころにかけて、全国的に展開するようになり、各道ごとに支社が建てられた。試験運用の結果、「運輸事業は儲かる」という手応えを得たからだと思われる。

第10回>>>

<リムジンガン>シリーズ 北朝鮮の市場経済 一覧