◆豆満江沿い、中~上流地域では90%以上完成
中国当局が朝中国境の川、豆満江沿いの中流~源流域で進めてきた鉄条網の設置作業が、完成段階に近づいている。アジアプレスが9月上旬に行った現地取材で明らかになった。

吉林省延辺朝鮮族自治州の国境の街、図們市は、豆満江の中流に位置する。ここから上流の川沿いは、断崖の地点を除いてほとんど鉄条網の設置が終了していた。一部未設置の区間でも、コンクリート製の支柱は既に立てられており、後は鉄条網を張り付けるだけという状態。中流から源流域にかけて90%以上が鉄条網で覆われていると記者は見る。

豆満江上流地域に並ぶコンクリートの杭。鉄条網はまだ張られていないが、設置工事が終わり近づいていることを示している。2012年9月 ナム・ジョンハク撮影(アジアプレス)

 

中国当局は2000年頃から、脱北行為や密輸を取り締まるため、川幅が狭い上に両岸に大きな都市を抱える「渡河ポイント」を中心に、鉄条網の設置を進めてきた。また、1,2年ほど前からは、人家のまばらな場所や、人気の少ない場所にまで設置範囲を拡大していた。

その背景には、不法な越境や、麻薬・覚醒剤をはじめとする密輸行為が後を絶たないことに加え、食糧に困窮した北朝鮮軍兵士が中国側に越境して強盗や略奪、果ては殺人などの凶悪犯罪が度々発生していることがある。

さらに最近になって、中国の中央政府が、全国に外国人の不法滞在の取締り強化を指示したことを中国メディアが度々報じているが、延辺朝鮮族自治州をはじめとする朝中国境地帯における「外国人の不法滞在」問題とは、すなわち脱北難民問題だ。豆満江沿いの鉄条網の設置は、中央政府レベルで決定された、将来の難民流入阻止を目的にしたものだと考えられる。
(アジアプレス=ナム・ジョンハク)

豆満江を挟んで、咸鏡北道会寧(フェリョン)市を臨む高台に新たに増設された鉄条網。傾斜が急であるにも関わらず隙間なく設置されている。2012年9月 ナム・ジョンハク撮影(アジアプレス)