■ オスプレイ配備隠し
さらに住民の不信感を募らせたのは、新型輸送機MV22オスプレイをめぐる国=沖縄防衛局の対応だった。オスプレイは、約30人の搭乗員が事故死しているため「未亡人製造機」とも言われている。しかも、離着陸時には激しい爆音と爆風を伴い、下に向けて噴射される高熱の排気は最高217度と言われ、火災事故も起きているという。

オスプレイが普天間「代替基地」に配備されるという計画は、1997年の段階で米公文書などに明記されていた。後に明らかになったことだが、1996年のSACO最終報告でも草案段階では配備が明記されたが、日本側が固有名詞を出すのに難色を示し、結局は曖昧な表現になったのだという。

ヘリパッド建設は、オスプレイ配備を想定したものではないのか。再三、説明を求める高江の住民たちに対し、国=沖縄防衛局側は「ここにオスプレイが来るとは聞いていない」の一点張りだった。2010年になって沖縄防衛局は形式的な住民説明会を開いたが、そこでも「配備が確認できたときには説明する」と曖昧な答えに終始した。

結局は、何一つ説明もないまま昨年10月1日、日本政府はオスプレイの普天間基地配備を強行。いまはもう連日のように高江の空にオスプレイが飛来している。日米間で禁止されているはずの夜間訓練なども実施されている。
「豊かな自然に囲まれた高江は、戦争のできる国に向かう日本の最前線になりました。沖縄だけの問題ではないのです」という育子さんの視線の先には、座り込みを続けているN4地点のテントがあった。N4はヘリパッド建設予定地の入り口で、北部訓練場のメインゲートとともに工事関係者との「主戦場」だという。
(つづく)
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