ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆東電延命やめて倒産させるべき 自民党政権も責任ある
9月19日、安倍晋三首相は福島第1原子力発電所を視察し、汚染水問題について「国が前面に出て私が責任者として対応していきたい」と語った。これまで東京電力に一任されてきた福島第1原発事故処理。今後は政府が前面に出て解決を目指すということだが、はたしてその発言にどれほどの重みがあると言えるのか。京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは、「まずは責任の所在を明確にするべきだ」と原子力を推進してきた自民党政権を批判した。(ラジオフォーラム)

◇責任を持つと言われる筋合いはない
ラジオフォーラム(以下R):最近になって国が先頭に立ってやると言っていますが。
小出:政府が何か自分の責任でやる、ということを、安倍首相や茂木経産相などが言い始めているわけですが、一体あなたたちは何を言ってるのかと思いました。元々、福島第1原子力発電所の原子炉が安全だとお墨付きを与えたのは彼ら自民党なのです。

彼らが責任を取ると言っても、それは国のお金、つまり私たちの税金を使って何かやると言っているのです。いい加減にして欲しいと私は思います。まずは、自分たちのやってきたことの責任をきっちりと明らかにして、どうやってその責任を取るのか説明して欲しいと思います。安倍さんから、国が責任を持つと偉そうに言われる筋合いは全くないと思います。

R:東電がうまくいかないから国が責任を持つ、というのは、今さら何を言っているのかということですね。
小出:どうせ今の国のシステム、経産省とか、今度、原子力規制委員会というものが出来ましたけれど、そんなところに任せたとしても(事故の)収束はできません。ただただ、私たちの国民の税金が無駄に捨てられることになるだけだと思います。

◇東電は倒産させるべき
R:どういう形で、誰が事故の収束に当たればいいのでしょうか。
小出:まずは責任というものを一つ一つきちんと明らかにするべきだと思います。この事故を引き起こした一番の直接的な責任は東京電力にあるわけですし、この事故を収束させる、或いは、今現在、苦難のどん底に落とされている方々にきちんとした賠償というものをしようと思うのであれば、東京電力が何十回倒産しても足りないという、そういう被害が出ているのです。その東京電力を生き延びさせようとして国のお金をつぎ込んでいるわけですけれども、これ以上そんなことをさせてはいけない。東京電力にはきちんと責任を取らせて倒産をさせるべきだと思います。その上で、どういう組織を作って事故の収束に当たるのか考えるべきです。

R:水俣病の時のチッソのように、まずは企業が全面的な責任を負うという順番を踏むべきだということですね。
小出:もちろんそうですが、(水俣病の加害責任のある)チッソがきちんと責任を取ったとは私は思いません。ましてや東京電力は、会長、社長以下、重役も原子力を推進してきた責任のある人たちも全く責任をとらないまま、生き延びてしまっている。

R:責任をとらないのは国も同じですよね。
小出:はい。原子力を進めてきた自民党にしても、全く無傷で生き延びてしまっている。経産省の役人たちも、また原子力の旗を振ってきた学者たちも、全く誰も責任を取ることなく、そのままの体制が生き延びているのです。まず、それを清算するのが一番初めだと私は思います。

R:実質的にはすでに国有化されていると言っていいほど、税金が投入されています。タンクの見回りすらいい加減というのは、科学者・技術者の目から見てどうですか。
小出:科学者・技術者と言われてしまうと、私としては大変苦しいのですが、タンクの見回りそのものをしようと思うと、その現場に行く労働者が被曝してしまいます。今、東京電力がやっていることは、私は大変不完全だし、不十分だし、もっとちゃんとやらなければいけないと思います。けれど、それをやろうと思えば、十次に及ぶと言われる下請け、孫請け労働者がどんどん被曝をしてしまうということになるのです。現場では、本当にどういう手段が一番いいのか、ますます分からなくなっていますし、どんどん東電と政府の無策によって苦しい戦いに追い込まれてしまっていると思います。
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