ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

施設の稼働率はなんと20%以下 安全装置が壊れると水素爆発の恐れ

2013年の暮れ、原子力規制庁は、茨城県東海村の東海再処理施設にあるプルトニウム溶液と高レベル放射性廃液についての調査報告書をまとめた。そ の報告書によれば、同施設には430 立方メートルの高レベル放射性廃液が処理されずに残っており、安全装置が壊れると沸騰して放射性物質が飛散したり水素爆発を起したりする恐れがあるとい う。このことについて京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)

◇再処理施設はプルトニウム抽出施設
ラジオフォーラム(以下R):東海村の再処理施設とは、どのような施設なのでしょうか。

小出:再処理という言葉を聞くと、この施設が放射能のゴミを何か処理してくれる、始末をしてくれるというふうに 思われる方がいらっしゃるようですが、それは全くの誤解です。再処理という作業は、原子炉を運転して出てくる使用済みの核燃料の中から、プルトニウムとい う物資を取り出すための作業に他なりません。プルトニウムというのは長崎原爆の材料になった物質でもあります。元々は、米国がマンハッタン計画という原爆 製造計画を進める中で、どうしてもプルトニウムを取り出したいとして開発された技術です。
これまで「ふげん」という原子炉が敦賀にあったのですが、そこで出てきた使用済み燃料を敦賀から東海村まで持ってきます。その使用済み燃料は元々固体なの ですけれども、まずそれをドロドロの液体に溶かします。そして溶かした液体の中から、プルトニウムという物質を分離する。そのためにつくられたのが東海再 処理施設です。

R:ということは再処理施設という言葉を聞いたら頭の中でプルトニウム抽出施設と置き換えないといけないわけですね。

小出:その通りです。
◇福島第一原発と同じことが起こる可能性
R:プルトニウムなのだから危ないものだということはわかりますけれど、安全装置が壊れると沸騰して水素爆発が起こるというのは、要するに、原発で冷却が止まって熱くなってしまうと爆発するという、福島で起こったことと同じことが起こるということですか?

小出:全く同じようなことが起こります。使用済みの燃料というのは、膨大な放射性物質を抱えており、常に発熱を しています。その熱を冷やせなければ温度が上がってしまいますし、今、東海再処理施設には使用済み燃料を溶かしてプルトニウムを分離した後に残った廃液が たくさん残っているのです。廃液は常に発熱をしていますので、冷やさなければ沸騰するということが簡単に起きてしまいます。そこでは膨大な放射線が飛び 交っており、水素も日常的に生成されてしまっています。それらをきちんと処理できなければ、福島第一原子力発電所で起きたような水素爆発が起きてしまいま す。

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