◇30年の運転期間の設備利用率は20パーセント以下
R:東海再処理施設には、高レベル放射性廃液が430立方メートルも残っているそうですが、残っているということはもともとそれ以上あったということですよね。

小出:東海再処理施設というのは1977年から運転を始めました。2006年までの30年間、曲がりなりにも運転されてきたのですけれども、この再処理という作業は猛烈な危険を抱えている作業で、たびたび事故を起こしたり故障で機械が動かなくなったりしました。
ですから、その30年間の施設の設備利用率は20パーセントにも満たないという、悲惨な運転履歴を残してきました。2006年に一応はお金儲けのための運 転はやめたのですけれども、その時までに処理し切れなかった廃液が残ってしまっていましたし、施設自体が故障や事故が続いて運転できないまま稼動を停止し ていたのです。

R:施設がそのような状態で、結局、大量の廃液をどうすることになったのですか?

小出:いずれにしても、廃液の状態で今後も保管を続けるということは本当に難しいことです。廃液は加熱されると すぐに蒸発し、放射性物質が吹き出してくるということになってしまいます。タンクにいれても、どこかでひび割れが起きれば、漏れ出してきます。それでなん とか固体にしたいということだと思います。

R:実績の設備利用率が20パーセント以下の施設で、それは可能なのでしょうか。

小出:大変だろうと思います。30年間で処理できた使用済み燃料が1140トンでした。大体1トンの使用済み燃 料を溶かしますと1立方メートルの廃液ができるのですが、今430立方メートルあるということは、それを処理するのに、原子力規制委員会の計画でも20年 ぐらいかかることになっています。施設ではまた事故や故障が起こるでしょうから、本当にいつ終わるのか分からない、そういう状態です。

◇とにかく処理をするしかない現状
R:この廃液処理は東海村の施設でやらざるを得ないということでしょうか。

小出:青森県の六ヶ所再処理工場というものを日本はつくろうとしたわけですけれども、ここはまだ動いていませんし、廃液をガラスに固めようとするところで止まってしまっています。だから、六ヶ所に送ったところでやはりできないだろうと思います。

R:では東海村で20年かけてやるしかないということですね。

小出:多分、そうだと思います。再処理に手をつけたことそのものが間違いだったわけで、本当はやってはいけなかったのです。しかし、時間を元に戻すことができませんので、すでに溶かしてしまった廃液はなんとしてでも固体にするということをやらざるを得ないと思います。

R:施設の安全装置はかなりしっかりなされているのでしょうか。

小出:もちろん、施設を設計するときには事故が起きないようにして安全装置などをたくさんつけるわけですが、残 念ながらそれがきちっと動かないということはよくあることです。福島第一原子力発電所だってもちろん安全装置がついていたのですけれども、それでも、事故 はやはり起きてしまうわけです。これからまた、東海再処理施設で廃液を処理しようとすればさまざまな事故、故障が起きるのだろうと思います。

 

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

 

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