◆語り部活動も潰される?

実際は空母4隻が撃沈され、搭乗していた300機を超える飛行機は空母に着艦できず、次々に海に沈んでいったのだ。

ミッドウェー海戦の生き残りは最前線へ送られた。軍事機密を知っているためだ。瀧本さんの配属先はトラック島(現ミクロネシア)。現地には満足な食料も弾薬もなかった。トラック島守備隊4万人のうち半数が死亡しているが、その多くが餓死や栄養失調による病死だった。

「とにかく食べるものがない。私ら下士官が葉っぱを取ってきて煮て食べている時に、士官連中は銀飯を食っていたんです。トラック島では生き延びるこ とが戦闘行為でした。この島で人知れず死んでいくことが国のためになるのか。何のための戦争かと思い、初めて国に騙されたと気づいたのです」

瀧本さんは戦争の語り部として中学校や高校などで自らの体験を子どもたちに話している。年々、戦争体験者が減っていくだけでなく、こうした平和を「継承」する活動も、いずれ潰されるのではないかと懸念する。

「太平洋戦争が始まったとき、特高警察が700人近くの反戦主義者を検挙した。
それと似たようなことをやる。今は当時よりも戦争に反対する者が多いから取り締まりも大掛かりにやるでしょう。特定秘密保護法の怖さはすぐにはわからない。だが、10年たってはじめて知ることになるでしょうなあ」と言って、ため息をこぼした。

さらに、瀧本さんは「その国の、その時の政権は、国民の政治的レベルに比例する。政権を作るのは国民ですから、一番反省しなければいけないのは国民です。そのための一票なのに、民主主義的な国ではありませんわ」とも言う。