◆ 井戸掘削の協定巡り争いは法廷に

JR東海が大阪府摂津市と茨木市にまたがる東海道新幹線の鳥飼車両基地で行っている井戸の掘削工事について、摂津市が地盤沈下の可能性があるとして中止を求めた裁判が1月30日、大阪地裁で始まった。(新聞うずみ火 矢野宏)

大阪府摂津市が地下水汲み上げ中止を求め、JR東海を提訴。裁判のあと、記者会見する森山市長(撮影・矢野宏)

大阪府摂津市が地下水汲み上げ中止を求め、JR東海を提訴。裁判のあと、記者会見する森山市長(撮影・矢野宏)

 

◇ 旧国鉄も認めた地盤沈下

第1回口頭弁論では、摂津市の森山一正市長が出廷し、自ら意見陳述を行った。

「JR東海さんの井戸掘削を阻止すべく提訴しました。摂津市を代表してここに至った経緯をご説明します」と切り出した森山市長は、半世紀前に鳥飼車両基地ができた直後、「便利さの追求は振動、騒音、地盤沈下という多くの副作用をもたらした」と振り返った。

「そんな中で、排除の論理はよくないと、先人は共生の道を探り、速度調整、防音壁の設置、基地内では井戸を掘らないという約束を交わし、当時の知恵 と汗の結晶である『環境保全協定』を作りました。ところが、その協定を破って井戸を掘削するという話が飛び込んできました。8万5000人の安心安全を考 えるとやむなく訴えることになりました」

東海道新幹線が開業した1964年から72年にかけて鳥飼基地周辺で著しい地盤沈下が発生。最も大きな被害があった新在家(しんざいけ)で46.1センチを記録した。当時、旧国鉄は1日2000トンから2500トンの地下水を汲み上げていたという。

「当時の国鉄も基地内で地盤沈下が起きていることを認めており、上水路に切り替えたいので市に協力してほしいという要請があり、76年に配管設置工 事を行い、1日1800トンの給水を確保することになりました。翌77年9月に地下水の汲み上げを行わないという環境保全協定を結んだのです」