JR福知山線事故の遺族らが2月8日、JR伊丹駅前で、大阪高裁に「公正な判断」を求める署名活動を行った。(撮影・矢野宏)

JR福知山線事故の遺族らが2月8日、JR伊丹駅前で、大阪高裁に「公正な判断」を求める署名活動を行った。(撮影・矢野宏)

 

福知山線事故で強制起訴の控訴審

107人が亡くなったJR福知山線脱線事故からまもなく10年。業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長の控訴審判決に向け、遺族らが2月8日午後、「公正・公平な判断」を大阪高裁に求めて署名活動を始めた。(新聞うずみ火/矢野宏)

◇ 争点は「事故予見の可能性」

事故が起きたのは2005年4月25日。死亡した運転士が制限速度時速70キロのカーブに時速116キロで進入して脱線。そのままマンションに激突したことが直接の原因だった。

国土交通省の事故調査委員会は、亡くなった運転士が「ミスを隠そうとしていた事実」を突き止めるとともに、運転士のブレーキ操作が遅れた原因として、些細なミスでも懲罰を課す「日勤教育」や、おろそかにされてきた安全対策などを挙げて、JR西日本の企業体質を問題視した。

JR西日本の井手正敬元相談役ら歴代3社長は不起訴となったが、検察審査会が起訴議決を出し、10年4月に強制起訴された。

神戸地裁で始まった裁判では、3社長が事故の可能性を予見できたのか、自動列車停止装置(ATS)の整備を指示すべきだったのかが主な争点だった。

検察官役の指定弁護士側は、3人の社長が事故現場のカーブをより急なカーブに付け替える工事を指示したこと、快速列車の本数を増やすダイヤ改正を主 導した点を重視し、「事故の予見可能性があった」とした。さらに、「ATSの整備で事故を回避することができたのに、利益優先の中で怠った」と主張した。

これに対して弁護側は「JR西日本管内に多数あるカーブの中から、事故現場のカーブについて脱線転覆の危険性があることは認識できなかった」と反論した。
昨年9月の一審判決は「事故の予見可能性はなかった」などとして、3人全員に無罪(求刑禁錮3年)が言い渡たされたため、検察官役の指定弁護士側が控訴した。