◇ 「娘のために何を」と自問自答

歴代3社長は控訴審の被告人質問でも「部下から現場カーブの危険性についての報告が上がっていなかった」「具体的な対策は専門部署に任せていた」と、一審と同じような主張を繰り返した。

今回の署名活動は、遺族の藤崎光子さん(75)が呼びかけたもので、JR伊丹駅前には支援者も含めて8人が参加した。

「じっとして3月末の判決の日を待つのがつらく、『何か自分にできることを』と考え、大阪高裁に対して署名活動を思いついた。一審判決は、歴代3社長の言い分だけが反映されたと感じる。公正・公平な判断をしてほしい」

藤崎さんは脱線事故で一人娘を亡くした。
事故当日の朝、藤崎さんが営む大阪市内の印刷会社に出勤するため、快速電車の2両目に乗り込み、事故に遭ったのだ。遺体が発見されたのは事故の2日後。損傷が激しかったが、着ている服でわかったという。

藤崎さんは仕事を辞め、遺族や被害者らの組織「4・25ネットワーク」の代表世話人として、JR西日本幹部と交渉する前面に立ってきた。
娘はなぜ、死ななければならなかったのか。娘のために何をしてやれるのか――自問自答の10年間だったと振り返る。

藤崎さんは、JR西日本の経営責任者が誰も刑事責任を問われないことに対して、理不尽さを感じている。

「歴代3社長の責任を一切問わないということは、『従来の経営陣の姿勢をそのまま継承していい』というお墨付きを与えることではないでしょうか」

判決は3月27日に言い渡される予定で、署名活動は2月22日、28日にもJR伊丹駅前で行い、今月末までにとりまとめて大阪高裁に提出する。(矢野宏)