◆民間企業の戦争協力の範囲・規模もひろがり、危険度も高まる

「戦争法案」が成立した場合、政府は当然、自衛隊のインド洋派遣・イラク派遣での前例にならって、民間企業に対し海外での自衛隊サポート、要するに戦争協力を求めてくるでしょう。

だから、たとえば今回の「国際平和支援法案」、いつでもどこでも米軍など外国軍隊への軍事支援ができるようにする実質的な「海外派兵恒久法案」でも、第13条(国以外の者による協力等)に、次のように書かれています。

「防衛大臣は、前章の規定による措置〔筆者注:自衛隊による措置〕のみによっては対応措置を十分に実施することができないと認めるときは、関係行政機関の長の協力を得て、物品の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供について国以外の者に協力を依頼することができる」

ここにある「国以外の者」とは、民間企業や自治体などを意味しています。

自衛隊だけで外国軍隊への軍事支援が十分にできない場合は、民間企業などにも協力を依頼することになるわけです。

すでに周辺事態法には、米軍への輸送・補給など軍事支援のために、「国以外の者に協力を依頼することできる」という規定が設けられています。

だから、周辺事態法から名称を変えて、日本周辺という一定の範囲の概念をなくし、世界中どこでも米軍支援ができるようにする「重要影響事態法案」についても、「国以外の者に協力を依頼することできる」という従来の規定が、そのまま適用されることになるわけです。

また、集団的自衛権の行使を新たに組み込むことになる武力攻撃事態法には、すでに運送・通信・医療・電力・ガス・放送などの事業者が「指定公共機関」として、「その業務について、必要な措置を実施する責務を有する」という規定がありす。

つまり、民間企業などに対して自衛隊支援の協力責務が課せられているのです。

「戦争法案」が成立すれば、民間企業などによる戦争協力の範囲も、規模もひろがり、そして危険度も高まるのは確実です。 続きを読む>>

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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