◆戦争協力による犠牲を二度と繰り返してはならない

また、この「戦争法案」では、自衛隊による米軍などへの支援に、傷病者に対する医療行為も含まれています。自衛隊員に傷病者が出る可能性も高まるでしょう。

自衛隊による対応措置では不十分な場合、公立や民間の医療機関に協力が依頼され、医師や看護師など医療従事者が野戦病院のような所で業務をおこなうことも考えられるのです。

医療・福祉に従事する労働者・労働組合からなる日本医療労働組合連合会(医労連)は、こうした「戦争法案」の危険性を訴え、反対しています。そして、三浦宜子書記長による「戦争法案」の撤回を求める談話を発表しました。

談話は法案の本質を、「アメリカが先制攻撃で起こした戦争も含めて、時の政権が『日本の平和と安全に影響を与える事態』と判断すれば、いつでも、どこでも、日本が攻撃されていなくとも参戦する戦争態勢をつくること」だと指摘し、次のように訴えています。

「戦争態勢では、自衛隊が海外に派兵されるだけではありません。自治体や国民も戦争への協力義務が課せられ、医療・運輸・建設など民間部門も含めて戦争への協力が迫られます」

「かつて医療労働者は戦争に動員され、3万人の従軍看護婦が戦地へ行き、多くの犠牲を出しました。私たちは、戦争への協力を強いられた先輩たちの苦い経験から、『ふたたび戦場の血で白衣を汚さない』決意のもと、平和な社会をつくる運動をしてきました」

かつてのアジア・太平洋戦争における、医療労働者の戦争協力による犠牲を二度と繰り返してはならないという、歴史の教訓を踏まえた提言です。

その歴史は、民間の船ごと軍に動員されて輸送作戦に従事し、戦火の海で命を失っていった戦没船員の歴史とも重なり合っています。

そうした歴史から、今日、戦後日本の重大な分岐点に立たされている私たちに、70年の歳月をへて脈々と語りかけ、訴えかけてくるものがあると感じられます。 続きを読む>>

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)