◆ 原発は住民に不和をもたらすもの

R:原発のための土地買収というのは巧妙だそうですね。「貯木場にするから」とか、「国定公園にするから」ということで土地を売ったら、あとでそれが転売されて原発予定地になったと聞いています。

小出:みんなどこでもそうです。

R:六ヶ所村もそうですよね。あれはもともと工業予定地として土地を取得しましたよね。

小出:そうです。石油基地コンビナートになる予定だった。それができなくなったからと言って、原発になってしまった。

R:そんな事情を知らない人の中には、「お前らはその土地を売って儲けたんだろ」みたいに言う人がいます。でも、騙されて土地を売ってしまった人、原発のための用地だと知っていたら売らなかったという人もきっと多かったのでしょうね。

小出:はい。

R:そういう意味で、関西電力の場合、福井県に原発が集中しているのは、経済的な問題から土地を買収しやすかったと?

小出:先ほどもお話した通り、日本海側と太平洋側とでは、やはり経済的な強さに差異というのがあったのだろうと 私は思います。太平洋側で止めることができたのは非常に偶然的なことも左右していたので、歴史というのは全部解説することはできないわけですが、かなりの いろんな偶然的な成り行きがあったのだろうなと思います。

R:日高町の反対運動が危ない時に、スリーマイルの事故が起き、また危ないと思っていた時に、チェルノブイリ原発事故が起きたと地元の人が言っていたのを聞きました。そういう偶然も重なったわけですね。

小出:そうです。

R:日高の町の人たちの和解は進んでいるのでしょうか。

小出:そうですね。当初は、本当に親族でもお互い口を利かないというような所まで追い詰められていましたが、そういうのを止めようということで町長も決断したわけですし、最近は随分良くなったと私は思います。

R:福島で非難した人としなかった人の分裂などもありますけど、こういう問題は解決に時間がかかりますね。

小出:すごい時間がかかります。

R:原発の計画を立てた時点で、本当に罪深いことやっているということですね。
※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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