人権状況が深刻な北朝鮮でも、刑事裁判に弁護人が参加していることが確認された。アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者が、今年夏に刑期を終えて教化所 (刑務所)から出所した人物に会い取材したところ、自身の裁判に弁護人はいたが終始無言であったという。(カン・ジウォン)

(参考写真)国家安全保衛部の特別軍事法廷の様子。2013年12月 労働新聞より引用

(参考写真)国家安全保衛部の特別軍事法廷の様子。2013年12月 労働新聞より引用

 

この出所者は北朝鮮北部の住民で、二年前に経済に関連する罪を犯したとして逮捕起訴され教化所に収監、今年の夏に満期出所した。

「保安署(警察)に逮捕されて予審(取り調べ)を受けた。普通、予審の期間は2~3カ月で、長くなると6カ月も取り調べを受ける場合もあるそうだ。保安署は裁判前に私が自白した調書と証拠などを資料にして提出していた」
逮捕後から裁判に至るまでの経過を、証言者はこう話した。

それでは法廷の様子はどうだったのだろうか。
「判事や検事が合わせて5人が参加していた。それに証人と弁護人もいた。しかし、傍聴人はおらず家族も法廷に入れなかった。また(別の)裁判にかけられた 人を数人集めて、まとめて一度に裁判を進めた。裁判は、(裁判官が)私の自白した内容だけを読み上げ『共和国刑法〇条〇項により、2年の教化刑に処する」 と判決したのがすべて。弁護人は黙って座っていただけだった」
裁判の過程について、彼はこのように証言した。

北朝鮮の刑事訴訟法は弁護人の章を設けており、被疑者が弁護人を選定して幇助を受ける権利があると定めている。しかし弁護人の実態は、「法廷にいるだけ」の形式にすぎず、被告の利益のために活動するということはないようだ。

(参考写真)平安南道のサンドゥン教化所 2009年8月 キム・ドンチョル撮影(アジアプレス)

(参考写真)平安南道のサンドゥン教化所 2009年8月 キム・ドンチョル撮影(アジアプレス)

 

判決が出た後の刑務所の移動について証言者は
「裁判が終わって2日ぐらい後に、教化所の戒護員と保安員2人に連れられて、他の受刑者3人と〇〇教化所に護送されたのだが、護送車はなく列車とサービス車(トラックの荷台に人を載せて運ぶ個人運営の車)に乗せられて行った」
と述べた。

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