「このままでは会社に殺されてしまう」――。企業に過酷な労働を強いられ、うつ病や過労死、自殺する人が後を絶たない。安心して働ける職場環境をつくるには労働条件の改善が不可欠だが、どうすればいいのか。劣悪な労働環境を改善させた「全日本港湾労働組合関西地方神戸支部山陽バス分会」の闘いを振り返ってみた。(矢野 宏/新聞うずみ火)

過酷な労働環境改善のため2013年5月、全日本港湾労働組合山陽バス分会はストライキに突入し、要求を勝ち取った。山陽バス分会の渡辺分会長(左)と、久田書記長(右)に話を聞いた(撮影:新聞うずみ火)

過酷な労働環境改善のため2013年5月、全日本港湾労働組合山陽バス分会はストライキに突入し、要求を勝ち取った。山陽バス分会の渡辺分会長(左)と、久田書記長(右)に話を聞いた(撮影:新聞うずみ火)

 

◆山陽バス運転手ら~労働条件改善を訴え、ストへ
全港湾山陽バス分会が山陽バス株式会社に対し、ストライキを決行したのは2013年前の5月のこと。当時のことを新聞はこう伝えている。

〈山陽バス(神戸市垂水区)の運転手138人が加入する全日本港湾労働組合関西地方神戸支部山陽バス分会は15日午前5時15分の始発から、年間休日の拡充を求めてストライキに入った。
神戸市垂水区などを走る30路線と神戸―徳島の高速バスなど計41路線のほぼ全てが運休。午前11時現在、約1万8000人に影響が出ている。同分会は昨 年11月、山陽電鉄労組を脱退した運転手で結成。年間休日を73日から104日に増やすよう求め、会社側と交渉してきたが妥結には至らず、4月15日にス トを通告していた。......〉(2013年5月15日付読売新聞)

2カ月前、山陽バスは「運転手に56日間連続で勤務させた」などの労働基準法違反(休日労働など)の疑いで、社長と旅客部長、垂水営業所長ら幹部3人が神戸西労働基準監督署から書類送検されていた。指導を受けながら改善を進めなかった結果だ。

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