秘密警察の国家安全保衛部が、少数の上級幹部を対象にした非公開の「脱北防止」講習を行っていたことが分かった。アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者がその詳細を伝えてきた。講習は韓国に行った脱北者たちが差別を受け悲惨な生活をしているという内容で、忠誠度が高いと認められて外国に派遣された人たちが相次いで韓国に逃亡していることに、金正恩政権が危機感を持っていることの表れだと思われる。(カン・チウォン)

地方都市で行われた党組織の政治学習集会の様子。内容は金正恩への忠誠を訴えるものだった。(2013年夏撮影、アジアプレス)

地方都市で行われた党組織の政治学習集会の様子。内容は金正恩への忠誠を訴えるものだった。(2013年夏撮影、アジアプレス)

 

◆少数の上級幹部対象は異例

「脱北防止」の講習会が開かれたのは6月初旬。北部地域のある大都市で、国家保衛部が主催して行政と労働党の少数の上級幹部を集めて行った。取材協力者は講習会の参加者からその詳細を聞いた。講習の内容は、脱北して韓国に行った後、再び北朝鮮に戻った「再入北者」の証言を交えた具体的なもので、韓国に行ってもひどい扱いを受け悲惨な暮らしを強いられるというもの。一般住民対象に対しては、同様の講習会は時折行われていたが、上級幹部対象の講習会は極めてまれだと、協力者は述べた。

講習の内容を整理してみよう。

1脱北者に定着支援金について

「安企部」(国家安全企画部の意、韓国の情報機関で現在の国家情報院の前身)と結託した脱北ブローカーたちは、脱北者が韓国に入るまでの費用だとして、ヤクザや警察も動員していくらにもならない定着金を奪う。当局は、脱北者に定着金を支給するふりをして結局奪ってしまうのだ。

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