◆宗教に深入りしていたとは思えない

18歳にしては奥手で女性の友達はおらず、一人で出かける経験もほとんどなかったという。英語で授業を行う学校に4年間通った息子は英語が堪能で、カナダで音楽を勉強している兄を追って彼の地の大学に行きたがっていた。

将来は父親のような会計士になりたいと話すこともあれば、社会学を勉強したいと言ったこともある。一方、子供の頃に興味を持ったものとして父の記憶に残るのは、複雑な恐竜の名前をたくさん憶え得意になっていた姿だ。どこにでもいる子供である。

ハヤトはサミーが宗教に興味を持ち熱心であったと明かし、「自分よりも詳しかっただろう」と話す。1日5回の祈りは欠かさなかったというが、これは多くのイスラム教徒にとっても一般的な習慣である。

イスラム教以外の宗教についてサミーがどう思っていたかを尋ねたところ、ハヤトは「インドに旅行で行ったあとにヒンドゥー教に興味を持ち勉強していたことを知っているが、キリスト教やユダヤ教に対しどれほど知識があったかは分からない」と話す。

「そんなに深く入り込んでいたわけではないでしょう。なぜなら同じ事柄に興味を持ち続けるような子ではなかった。夢ばかりみているような子だった。やりたいことがあってもやり続ける辛抱強さはなかった」

サミーの机にはTOEFLの問題集などが積まれていた。2016年7月5日撮影宮崎紀秀

サミーの机にはTOEFLの問題集などが積まれていた。2016年7月5日撮影宮崎紀秀

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