ちなみに返還されるのは、米軍がほとんど使用していない土地。要は不要なエリアだ。オスプレイについても、1996年の段階で「普天間の代替施設」に配備することが米側から日本側に伝達されていた。しかし事故が多発していたため、国は、沖縄県内での反発を恐れ「封印」。2007年にすっぱ抜かれたあとも、否定し続けた。

「住民の会」の儀保昇さんは7月22日、N1ゲート前で、隣の人たちと結束バンドで腕を結びあった。流血も覚悟したという。「9年間守り通してきたN1ゲートがこじあけられ悔しい思いをした。無防備の市民に対し、暴力的に排除する。現実なのだろうかと思った」。

農園を営む儀保さんだが、しばらく農作業もできず、草がどんどん生えてきているという。その状況になぞらえ「ヘリパッドも、もし作られても、使わなければ森に戻る。やんばるの森を守りたい。知恵を出し合って、工事をどうにか止めたい」と話す。

「住民の会」では、参院選で伊波洋一さんが当選したら、ヤギ汁で祝うことになっていたという。しかし参院選翌朝からの厳戒態勢。宴の席を設けることすら、阻まれている。

石原理絵さんも「住民の会」の一人。25年前沖縄に移住、高江には、豊かな自然の中で子育てをしたいと居を定めたという。「生活を守りたい」とはじめた座り込み。しかし、気が付けば、その「生活」の部分が目減りしていく。日常とは受け入れがたい状況が、いまも続いている。石原さんは「生活を守りたい。家族を守りたい。その思いほど強いものはないと思う」と声を振り絞った。(了・新聞うずみ火/栗原佳子)

←【写真】沖縄県東高江のN1ゲート前は厳戒態勢が続く。(撮影:栗原佳子/新聞うずみ火)

【写真】沖縄県東高江のN1ゲート前は厳戒態勢が続く。(撮影:栗原佳子/新聞うずみ火)

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