南相馬市ボランティア活動センターのポスター。「住民帰還準備に向け、自宅の片づけ、敷地の整備等に人手が必要です」と呼びかける(2017.10.1撮影筆者)


◆山積する依頼、足りぬ人手 
夜の9時を過ぎても、センター本部の明かりは消えない。訪ねてみると、松本センター長が一人、明日の作業スケジュールを立てていた。デスクには、小高区民から寄せられ、いまだ未処理の依頼書が7、80部ほども積まれている。

「今月完了できたのは100件ぐらい。長いもので2か月待ちの依頼もある。人手は圧倒的に足りないし、その依頼に対応できる技術を持った人がその日にいなければ、いつまでも未処理のままになってしまう」

ボランティアの人数は、3年前ぐらいをピークに減少の一途を辿っているという。ボランティア人口は一定なのだろうが、他の地域での地震や豪雨といった災害の増加や、東日本大震災自体の風化が原因と考えられるという。だが、センターへの依頼は減っていない。 

震災直後、もともとこのセンターは、津波被害の大きかった同市原町区を活動拠点に、泥出しなどの作業に従事した。その後、福島第1原発から20キロ圏内にあり、避難指示解除準備区域であった同市小高区に拠点を移し、昨年7月に避難指示が解除された今、この小高区で帰還に伴う家屋や敷地の整備の依頼に追われているという。

行政から一切の助成を受けていないこのセンターの維持は、支援者や町の人々の協力あってのものだ。「帰ってくる人、お年寄りたちの家を守らなければならない」と述べる松本さんは、当面は山積する小高の依頼に専念すると語った。<下>  続きを読む >>

NPO法人・南相馬市ボランティア活動センター
電話: 0244-26-8934(10~18時) HP: https://ameblo.jp/v-home-net/

【合わせて読みたい記事】
<福島県大熊町>震災から6年5か月~津波に流された娘・汐凪(ゆうな)を捜して(1)知ってほしい。原発の町の少女のこと
<福島県大熊町>震災から6年5か月~津波に流された娘・汐凪(ゆうな)を捜して(2)児童館から家へ帰ったところを津波に
<震災から5年の陸前高田をいく>(上)今も続く震災関連死

★新着記事