2016年6月、違法に解体された煙突のがれき。袋の中でふわふわとした感じで茶色っぽく見えるのがアスベストの1つで発がん性の高いアモサイト(茶石綿)。職員の1人がたまたま気づいて発覚した(堺市提供)

その後「市の公的文書ではない」としつつも、施工業者経由で欠損のない報告書を提供してもらえることになった。古川さんは1月19日に市を訪れて、業者の担当者から資料を見せてもらって驚いたという。

「びっくりしましたよ。だって、煙突内のアスベストに取り残しがあるとか、除去作業中に外部でアスベストの破片が散らばっていたとか書いてあったんですから」(古川さん)

違法解体後の現場。屋上にせり出した煙突部分がほとんど解体された。煙突の屋内部分はそのまま残っており、茶色く見えるのがアスベスト含有の断熱材(堺市資料より)

3つの報告書で欠損していたのは計34ページに上る。この報告書は、施工業者が委託した分析機関によって作成されたもので、除去工事の際に実施した空気中のアスベスト濃度測定の結果が記載されている。

だが、それだけではなかった。市が保有する報告書に「存在しない」ページには煙突の除去工事を終えた後でも煙突内部にアスベストの取り残しが存在することが写真付きで指摘されていた。
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