◆大気汚染防止法の届け出義務違反の疑い濃厚

堺市発行「届出のしおり」。アスベスト除去時に届け出が必要と説明。今回再び市が自らこれを守らない「無届け」疑惑が生じている

だが、「清掃」だから「除去」ではないとの主張に対して、環境省大気環境課は「いまの話だと除去を目的にされてたのだと思います。自治体による判断ではありますが、作業内容が明らかに変わる場合は届け出が必要です」と指摘する。

労働安全衛生行政を所管する厚生労働省化学物質対策課も「一般論では除去の残りをやったとするのが普通かなと思います」と、やはり除去工事だったとの判断である。

環境・厚労両省は、わざわざワイヤブラシと真空掃除機というアスベスト除去に使う工具で「清掃」しており、ふつうに考えれば「除去」の仕上げ作業でしかないとの見解だ。

両省の見解も伝えたが、市建築課の永野達彦課長は「我々は完全に除去は終わっているという認識。(アスベストは)ない前提の清掃ですよ」と強弁。市環境対策課の藤原一規課長も「見解は変わらない」と言い続けた。

環境・厚労両省の「常識」では、堺市のいう「清掃」はアスベスト除去工事で事前に届け出が必要な作業である。

前回の記事で紹介した煙突のアスベスト除去を専門とする除去業者も「それ明らかに除去ですよね。そういう場合はまず行政に相談して、届け出なりするのが当たり前ですよ」と失笑していた。民間事業者の常識からも、堺市の対応はおかしいわけだ。

堺市は煙突内にアスベストの残存がないと強調するが、仮にそうであるなら、取り残しが指摘されたとしても大慌てで翌日「念のため」に「清掃」する必要などない。すでにこの時点で説明に無理がある。

その「清掃」作業後にも取り残しがいまだ存在することが指摘されているのである。やはり実態はアスベスト「除去」以外考えられない。大防法の届け出義務違反の疑いが濃厚だ。

さらにいえば、「清掃」時に負圧除じん装置を稼働させていなかったことは大防法の作業基準違反に該当する可能性がある。

◆条例と第三者による検査必要

じつは3月5日の堺市議会本会議で窪園伸一建築都市局長は4月12日の「清掃」を「除却作業」と答弁。公式の場でも「除去」と認めている。ところが、その裏で建築課や環境対策課が火消しに必死だ。その時々で都合のよい言い逃れをしているともみえる。

今回の問題を追及してきた被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会前会長で堺市在住の古川和子さんは「やっぱりという感じ。清掃、清掃と言い続けたのはそういうことかと。市はワイヤブラシとか真空掃除機で清掃したというけど、それをやるのはアスベストが残っている可能性があるということ。届け出してなかった清掃っていわざるを得なかったのか」と呆れていた。

古川さんはこう続けた。

「そもそも前回調査しないで(煙突を)壊した。今回は除去をやったけど、取り残しがあると指摘された。どっちも非常にレベルが低い。できて当たり前のことができてない。煙突1本の問題じゃないといってきましたが、本当にそう だった。やっぱりアスベスト対策条例を制定して、第三者がきちっとチェックする仕組みが必要です」

堺市は政令市であり、市内の民間除去工事の届け出を受け付け、現場を監視・指導する権限を有する。堺市が発注した2016年6月の違法工事で大阪府警に書類送検されたのはそうした環境行政を所管する政令市として「示しがつかない」からだった(2017年3月不起訴処分)。

2度目の大防法違反疑惑に堺市はどのように「示し」をつけるのか。あるいはやはり再び書類送検されなければならないのだろうか。

(つづく)