横田基地から離陸しようとする米軍の大型輸送機(2018年撮影・吉田敏浩)

記事1回目より読む >>

◆日本政府は関連文書を全面不開示に

横田空域と岩国空域は日本の領空なのに、日本の航空管制が及ばず、管理できない。
空の主権を米軍によって制限・侵害されているからだ。
一種の「占領状態」といえる。

このような外国軍隊によって広範囲に管理される空域は、世界的にも異例である。
同じ第2次世界大戦の敗戦国で、米軍基地が置かれているドイツやイタリアにも存在しない。
この独立国にあるまじき事態が、なぜ続いているのか。

本来、日本の航空管制は航空法にもとづき国土交通省の航空管制官がおこなう。
ただ、同法第96条によって例外的に、自衛隊基地の飛行場とその周辺の航空管制は自衛隊に委任できる。

しかし、米軍に委任できるという規定は、航空法にはない。

では、なぜ米軍が横田空域や岩国空域の航空管制を握っているのか。
マスメディアでは日米地位協定にもとづくと報じられたりする。

日米地位協定は米軍の基地使用と軍事活動の権利、米軍人・軍属の法的地位などを定めたものだ。
しかし、その条文に両空域に関する規定はない。

これは放置しておけない重大な問題である。

そこで私は、日本の航空管制を管轄している国土交通省に対し、横田空域と岩国空域で米軍が航空管制をしている法的根拠を記した文書を、情報公開法にもとづいて開示請求してみた。

しかし驚くべきことに、関連文書は「国の安全・外交に関する情報」に該当するため全面不開示とされた。
その理由が不開示決定通知書にこう書かれていた。

「日米双方の合意がない限り公表されないことが日米両政府間で合意されており、これを公にすることは、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあるため」

なんと日本政府は、日本の航空管制権が排除され、空の主権が侵害されたままの異常な状態を生み出している、その法的根拠を公開できないというのである。
まさに情報隠蔽である。
次のページ: 日本は法治国家のはずだ... ↓

★新着記事