憲法にもとづく国権の最高機関である国会のチェックも、主権者である国民・市民の目も届かない密室での、ごく一部の高級官僚と在日米軍高官の合意が、法的定義も不確かな「いわば実施細則」として、合意文書も秘密にされたままで、「日米両政府を拘束する」巨大な力を持つというのだ。

ただ、米軍のほうは地位協定により基地の「排他的管理権」、フリーハンドの軍事活動の特権を得ている。
だから軍事上の必要に応じて、日米合同委員会の合意に拘束されずに動くのが実態だ。

このように日米合同委員会の正体は、米軍が日本の高級官僚との密室協議の仕組みを利用して、占領時代からの特権を維持し、変化する時代状況に応じて新たな特権を確保してゆくための「政治的装置」といえる。

「いわば実施細則」の合意に日本法令を超えて「日米両政府を拘束する」効力を持たせる仕掛けも、そのためだ。

米軍優位の不平等な地位協定の構造を裏側から支える仕組みであり、日本政府の対米従属ぶりを象徴している。 

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*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

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