大阪市長就任2周年記念パーティであいさつする吉村洋文氏。この翌年の2019年、「維新の党略選挙」と批判を浴びた「大阪ダブル選挙」で府知事に当選した。写真は公式HPより。

吉村洋文大阪府知事が、大阪市長時代の2016年に開いた政治資金パーティで、大阪市と契約関係にある企業にパーティ券を購入してもらっていたことが、大阪市の資料や吉村知事が関連する政治団体の政治資金収支報告書などを調査した結果、判明した。さらに、パーティ券の購入が、事実上の政治献金に該当する可能性があるケースもあったことも、購入企業への調査から判明した。(鈴木祐太)

吉村洋文氏が代表を務める政治団体「吉村洋文後援会」は、2016年11月14日「市長就任1周年記念パーティ」をリーガロイヤルホテル(大阪市北区)で開催した。「吉村洋文後援会」の政治資金収支報告書によると、このパーティで1775人がパーティ券を購入し2647万5千円の収入があったと記されている。そのうち企業によるパーティ券の購入は、16社594万円となっている。

◆出席なしパーティ券の購入は事実上の「企業献金」

パーティ券を購入した企業16社に対してアンケート調査を行ったところ、5社から回答があった。そのうち、3社が購入した人数分の人間が参加したと回答したが、残りの2社は欠席した人がいたと回答した。2社は、ともに20人分を購入し、8人、5人が参加したという。2社合わせて40人分のパーティ券を購入したが、27人はパーティに参加しなかったということになる。

これについて、政治資金問題に詳しい阪口徳雄弁護士は次のように解説する。
「そもそも参加が前提でないパーティ券の購入は『対価の支払いがないので、参加しない枚数分は寄付、献金に該当する』と解釈できる。参加予定であったが当日何らかの事情で参加できなかったケースはともかく、参加不可能な枚数を購入して、一部は参加できたが、その残りの者は多忙で欠席したと『弁明』するやり方は脱法行為ではないか」と話している。

つまり、「出席しないパーティ券の購入は事実上の企業献金」だと解釈できるというわけだ。

政治資金規正法では、企業献金は政党だけが受け取れることになっており、政党ではない政治団体の「吉村洋文後援会」は企業献金を受け取ることができない。さらに日本維新の会は、「身を切る改革」の一環として、政党本部、政党支部であっても企業献金を受け取らないと公言している。

吉村洋文氏は現在、日本維新の会の副代表を務めている。「出席しないパーティ券」を企業に購入してもらっていることについて説明責任があるはずだ。

さて、それでは「出席しないパーティ券」は、いったいどんな企業が購入していたのだろうか? 調べていくと、大阪市と事業契約関係にあるなど、利権の匂いが漂う背景が浮かび上がってきた。
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