「おときた後援会」の2018年の政治資金収支報告書にはクラウドファンディング収入が明記。

◆寄付が行われた可能性大なのに記載なし

仮に「おときた駿後援会」の主催だったとしても、問題がなくなったわけではない。

クラウドファンディングで資金を募ること自体は違法ではない。しかし、新党を作るため、つまり政治資金集めである以上は、公職選挙法や政治資金規正法などは、当然守らなければならない。

政治資金規正法は「寄付」収入と「政治資金パーティー」収入を区別しているが、政治資金パーティーの場合であっても、その代金が社会通念上の価値を超える場合、超えた分は「寄付」として扱われる。この点は政治資金集めをしたクラウドファンディングでも同様である。例えば1万円を支援(購入)し、その対価(リターン)として1000円の書籍を送った場合、手数料を差し引いた額は「寄付」として扱われると考えるべきだ。

政治資金規正法では、寄付者の氏名、住所、寄付額などを政資金収支報告書に記載することを定めている。これは政治資金の透明化を図るために重要なことである。

しかし、音喜多議員のクラウドファンディングでは、「対価となるリターンを『購入』していただくものですので、寄附行為にはあたりません」と書かれているが、果たして、そうだろうか。一例をあげると、リターンの一つである1万円の「新党を着て応援!セット」を購入すると、以下のものを対価として受け取ると明記されている。

・御礼メール
・新党HPへの名前掲載 ※希望者のみ
・期間限定メルマガ(新党立ち上げ裏話全5回)
・「みんなでつくる結党大会」参加権 →12月22日(土)19時より都内にて開催予定
・新党オリジナルステッカー
・新党オリジナルうちわ
・新党オリジナルTシャツ(オレンジ)

この対価のうち、金銭的価値があるのは、ステッカー、うちわ、Tシャツ、「結党大会」参加権だろう。

「結党大会」参加権については、不参加だと、少なくともその分は「寄付」になる可能性が高い。また10万円のセットを購入した人が20名いたが、そのリターンで金銭的価値があるのは、1万円支援の場合と同様なので、残りの9万円のうちの多くが寄付とみなされる可能性があるし、大会不参加者は少なくとも参加権分の金額を寄付した計算が成り立つ。

政治資金規正法は選挙運動のための寄付を除き、「公職の候補者」である政治家個人への寄付を禁止しているので、音喜多議員個人の主催なら、違法寄付になってしまう可能性がある。

たとえ「おときた駿後援会」の主催だとしても、その「寄付」については政治資金収支報告書に記載する必要がある。少なくもリターンの金銭的価値を差し引いて5万円を超える寄付をしたとみなされる人については、その氏名、寄付額、住所を政治資金収支報告書に記載していなければ、政治資金規正法違反の不記載罪に問われる可能性がある。
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