音喜多議員が新党結成の資金集めを呼びかけたクラウドファンディングの紹介ページ。

◆言行不一致、あまりの不誠実と不透明

「あたらしい党」の政治資金収支報告書によれば、「あたらしい党」は結党大会で約35万円の収入を得ている。それに対して、支出として「ケータリング代」約73万円をはじめ、支出総額は約97万円になり、赤字となっている。

この点について、音喜多駿事務所は、「結党大会の収入は、パトロン(購入者)ではない方からの参加費になります。パトロンの方には、クラウドファンディングにて 『みんなでつくる結党大会』参加権をご購入いただいております」と主張した。それによれば、クラウドファンディングの購入者が不参加の場合は、前述のように寄付になる。

「あらたしい党」の政治資金収支報告書からは、クラウドファンディングの購入者ではない人が結党大会に何人参加したのか、購入者は何人が参加したのかといったことが分からない。政治資金の流れが不透明であり、党是の「情報公開の徹底」からはかけ離れていると言わざるを得ないだろう。

音喜多議員は、「キャンプファイヤー」での資金集めに際して次のように書いている。
「クラウドファンディング等で集めた政治資金の会計報告は、法律で定められた以上の透明性をもって公開(ネット公開)し、公明正大な党運営を行うことをお約束いたします」
しかし、設立した「あたらしい党」で公表しているのは、希望者の氏名のみで、購入者の住所や購入額については一切書かれていない。

◆匿名の政治資金集めは違法行為

それどころかクラウドファンディングのキャンペーンページには「匿名による購入が可能です」と書かれている。政治資金集めが目的でないならば、クラウドファンディング自体は匿名での購入は違法ではないが、はっきりと「新しい政党をつくって」とタイトルに書かれている以上、政治資金集めであることは明白だ。そうであるならば、前述のように「寄付」が含まれる場合、匿名での寄付は政治資金規正法に違反する。

政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘する。

「一人で10万円、20万円、50万円、100万円もの購入を認めれば、そのうちの多くが寄付になることは当然予想されることです。音喜多議員は、『情報公開を徹底します』『会計報告は、法律で定められた以上の透明性をもって公開(ネット公開)』すると公言して資金集めしながら、一方では、『匿名による購入』を認め、政治資金規正法の定める透明性の要求義務さえ遵守しているとは言い難い。

また、同法が収支報告書に寄付者の氏名など詳細を記載することを義務づけていない計5万円以下の寄付者の場合であっても、会計帳簿にはすべての寄付者の氏名等詳細な記載を義務づけているので、匿名での購入を認めたのは、初めから法律違反を行うつもりだったことになり、悪質です。音喜多議員は説明責任を果たすべきです」

◆批判している既存政党公認で国会議員へ

音喜多氏はクラウドファンディングのキャンペーンページに、地方政治から国を変えていくことを掲げて次のように書いている。

「いきなり国会議員を目指しても、実は政治や社会を変えることはできません。まずは地方で、基礎自治体で政策を実現し、それを成功例として周辺地域に波及させていく」

また、「今の政治家や既存政党にはできません」と、既存の政治家や政党のあり方を批判して、「あたらしい党」を設立する意味を説いている。

ところがである。音喜多氏は「あたらしい党」の結党大会から半年後の2019年7月、日本維新の会の公認で参議院選挙に立候補し当選した。日本維新の会は既存政党であるのは言を俟たない。

上脇教授は、「あたらしい党」の代表の音喜多氏が「日本維新の会」から立候補したことは、政治倫理的に問題だとして、次のように指摘する。

「既存の政党ではダメだと説明して『新しい政党を設立しよう』と呼びかけて資金集めをし、『あたらしい党』を結成しておきながら、音喜多氏は離党することも、その代表を辞任することもないまま『日本維新の会』から立候補しました。このことは『あたらしい党』を結成したことと矛盾します。『あたらしい党』は音喜多氏を参院選で推薦し、当選をネットで発表してもいて、事実上『日本維新の会』の支援政治団体になってしまったようです。言行不一致も甚だしく、資金提供者への裏切り行為です。

だからでしょうか、クラウドファンディングでの支援者は1000人を超えていたのに、今年3月14日に実施された『あたらしい党』代表選挙では有権者数 77人で、投票総数は 65票しかなく、音喜多票は43票にすぎませんでした。クラウドファンディングによる支援者は音喜多氏が裏切ったと思っているのではないでしょうか」

約束したことが守れないならば、クラウドファンディング集めた政治資金は「返納」すべきではないか。

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。