◆国・都と区で見解に相違

しかもこの再開発は解体費用などの約3分の2を板橋区が補助(うち2分の1は国負担)する公共性の高い事業だ。おまけに都の道路建設予定地については100%補助(都と国で2分の1ずつ負担)。解体関連は「ほぼ公費」といってよい。

費用面では相当優遇されているはずだが、それでも再開発組合側は工事強行へと動き出しつつある。あるいはこうしたアスベスト対策に補助が適用できない事情でもあるのだろうか。

国土交通省市街地整備課にアスベスト除去工事における再調査や監視などの施工監理が補助対象となるのか確認したところ、「解体費用に施工監理も必要経費として入ってきますので対象となる。明記はされていないが、(再開発補助の)要綱上排除するものではない」と説明する。

おそらく8棟が対象とみられる都の道路予定地について、同様の対応は可能なのだろうか。東京都都市整備局再開発課は「事業者と区の協議がちゃんと提示されて、適法な事業であると確認できればよい」との見解だ。

ところが、板橋区拠点整備課は「(第三者による再調査や施工監理など)法令に基づかない対応については事業者負担だとうかがっている」と主張する。

同課によれば、建物などの解体時などのアスベスト規制である労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)や大気汚染防止法(大防法)で具体的に法的義務として定められた事項以外は「法令に基づかない」として補助対象にならないというのだ。

しかし、国交省によれば、再開発の補助について定める要綱で建物などの「解体除却工事に要する費用」が補助対象となっているが、それ以上細かな基準はない。裏返せば、「適法」で「適正」な事業だと自治体が判断すればよいことになる。

同省は「都道府県なり市町村に確認していただくことになる。合理的に判断して資料などで納得できるのであれば対象としてよいはず。一律のルールというより個別の判断となる」と説明する。

自治体によっては独自にさらに細かな要綱などを定めている場合があるが、板橋区では作成していない。区拠点整備課によれば、「国の補助要綱と同じ」という。であれば、国や都が可能と説明しているとおりのはず。板橋区だけが何の定めにも基づかず、不可能だと主張していることになる。