◆信頼と安全の確保必要

住民は再開発組合に対して改めて説明会の実施や第三者機関による再調査・監視などを繰り返し求めている。補助を出している板橋区に対しても、同様の対応を求める署名を9月24日までに計2489筆提出している。

板橋区は所有者への補償や解体費用などとして再開発組合に支給する補助の予算としてすでに10億7250万円を計上。補償費などが多く解体費用としての支給は「半分もいかない」というが、それだけの税金が投入される公共性の高い事業である。

一方で住民の要望に対しては、ほぼゼロ回答。区は「区と組合で連絡を密にして対応」するというのだが、区には専門家レベルで調査が適切であったかを実際に現場調査を踏まえて検証する再調査や施工監理・監視などを実施する能力がない。だからこそ、信頼できる第三者機関による対応を求めているにすぎない。

かろうじて区が再開発組合に求めたのはアスベストを含む成形板などレベル3建材の除去時における空気中のアスベスト濃度測定である。規制にないものだが、再開発組合は実施の方針を示している。

「法令にない」ことでも区が要望する場合もあるわけだ。となれば、住民がこれだけ必死に求めている安全対策をきちんと実施させ、その費用は補助で対応するという当たり前のことができないわけがない。つまり、財布を握っている区がケチって上乗せの対策を不要と判断している可能性がある。

アスベスト除去工事における再調査や監視などの施工監理を補助対象と判断してよいとの国などの見解を伝えると、区拠点整備課は「確認させていただきます」と答えた。確認後改めて可否の見解を回答するよう求めたが10月1日現在、連絡はない。なお、再開発組合は9月28日、取材を拒否した。

現場は住宅地や保育園に隣接し、毎日3万人超が往来する。住民は再開発の中止ではなく、アスベストが飛散しない安全な工事を求めているだけだ。板橋区や再開発組合はもっと住民の声に耳を傾けるべきではないか。