11月1日の住民投票を呼びかける立て看板(10月 大阪市北区大阪市役所前・撮影:矢野宏)

5年前も介護関係者らは反対した。だが、今回の協定書は何も変わらなかった。「高齢者や障がい者を本気で支える姿勢には思えない。協定書に賛成した会派の市議にも話をしましたが、そもそも、介護保険のことを全然わかっていませんでした」という真辺さん。「われわれ専門職が指摘する命に係わる施策に対して解決策や対策を提示せず、住民投票を強行した、大阪維新の会の姿勢に大阪市民の命の危険を感じているのです」と憤る。

真辺さんは周辺の駅で日替わりの「一人街宣」を続けてきた。毎日仕事帰りに約1時間。福祉の問題を入口に、根気強く対話重ねる。なかには「死ねや」「道交法違反やろが」などと絡まれることもある。6日前も、チラシを配る真辺さんに「利権やろが!」「俺は賛成や!」と中年男性が詰め寄ってきた。「これを読んで」と手渡したチラシは目の前でくしゃくしゃに握りつぶされた。

「1カ月も立っているといろんなことがありますよ」と真辺さんは苦笑した。以前、ここで賛成の中年男性と言い合いになりかけた。だが、介護保険のことや大阪市の福祉制度の話に及ぶと、「知らなかった。命に及ぶ問題と言われたら何も言えない」と言ってくれたという。

「コロナ禍があと数年続くと言われているこの時に、大阪市を廃止して新しい行政組織をつくる経費と労力があれば、大阪市民の命と生活を守っていただきたい。話し合いはいつでもできます。しかし、大阪市を一度でも廃止すれば、二度と戻すことはできません」
住民投票まで残された時間はあとわずか。真辺さんはチラシを持って雑踏の中に消えていった。