「大阪都構想」の賛否を問う住民投票を目前に控え、「都構想」への反対を訴える文化人・教育関係者ら202人のアピールが発表された(10月1日大阪市役所・栗原佳子撮影)

 

大阪市を廃止して4つの特別区に分割する、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(10月12日告示、11月1日投開票)をめぐり、上方芸能評論家の木津川計さんらが10月1日、市役所で会見を開き、文化人や教育関係者ら202人が賛同した「都構想」反対のアピールを発表した。(栗原佳子・新聞うずみ火)

◆「『都構想』は大阪の発展につながらない」

アピールは「大阪市は歴史と文化の町。近・現代においても経済・文化・福祉などあらゆる分野で全国をけん引してきた。その大阪市をなくしていいはずはない。しかも、コロナ禍の中、投票率がどれだけ低くても、一票差で廃止が決まってしまう」として、「大阪市をなくしたらアカン」と訴えている。

俳優の松尾貴史さん、劇作家のわかぎゑふさん、文楽三味線の竹澤團七さん、作家の難波利三さん、梁石日さん、絵本作家の長谷川義史さん、元大阪市長の平松邦夫さん、元文部科学省官僚の寺脇研さん、元事務次官の前川喜平さんら、大阪在住・出身者を中心に全国から文化・芸能、教育関係者らが賛同した。

会見には呼びかけ人の木津川さん、弁護士の石田法子さん、大阪大学名誉教授の小野田正利さん、人形劇作家で演出家の松本則子さん、元大阪城天守閣館長の渡辺武さんがそろって参加した。木津川さんは「大阪市をなくすことは家の表札を外すようなもの。大阪市を消してはならない。大阪は都市のグレード、都市格も下がっている。これをどう引き上げるのか。人口流出をどう止めるのか。そのときに大阪を廃止し、4つの特別区にすることが発展につながるとは思えない」と訴えた。

◆4人の呼びかけ人の発言は以下の通り

「政令市になろうと努力しているところが多いのに、それを捨てようとしている。世論調査で『都構想』に賛成の人も、その内容を分かっている人は少ないと思う。『一度やってみたらエエ』というが、一度変えてしまったら戻すには新たに法律を作らなければならない。逆戻りはない片道切符に等しい」(石田さん) 

「コロナ禍による不況で財政状況はひっ迫している。向こう5年は改善の見通しが立たない。『都構想』は絵に描いた餅。『成長戦略』ではなく『破滅戦略』ではないか」(小野田さん)

「かつて大阪市は演劇、人形劇の学校公演が全国ダントツだった。しかし助成もなくなり、公演もなくなってきている。子どもたちが可哀そうだと思う。『都構想』は自分たちが決めたものを上から流し込むための制度を作っているように見えて仕方がない」(松本さん)

「維新の府・市政が始まってからは何事も効率主義になり、文化や教育などにはできるだけお金をかけなくなった。大阪市は都市として築いてきた独特の歴史と文化がある。その根っこを無視して。大阪府に一本化することはあってはならない」(渡辺さん)

◆新聞うずみ火 http://uzumibinews.com/

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