
北朝鮮の秘密警察である「国家保衛省」が「国家情報局」に名称が変わったとされる。北朝鮮では公安機関の名称がしばしば変更されるが、今回変わったのは名称だけなのか? 権限や機能にも変化が生じたのか? 4月中旬、咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)郡の取材協力者が3つの変化を伝えてきた。(洪麻里/カン・ジウォン)
◆金正恩氏「細分化・専門家した警察制度を樹立する」
朝鮮中央通信によると、金正恩氏は今年3月23日、最高人民会議(国会に相当)の施政演説で「治安維持活動をより高いレベルで行うために、法律闘争分野を細分化・専門化した警察制度を樹立するのは当然かつ有益なこと」、「警察制度を設ければ、国内で法律執行機関間の事業範囲を明確にして、相互連携と協同を円滑に保障し、外国の警察機関との協力を実現する上でも有利」と述べた。
一方、韓国国家情報院(国情院)は4月6日、国会情報委員会で国会議員を対象に行った非公開のブリーフィングで「保衛省を国家情報局に改編し、社会安全省を内閣に編入させ、警察制度の導入も予告した」と説明したと韓国メディアは伝えている。
上記の金正恩氏の発言に「国家情報局」についての直接的な言及はないが、「警察制度の樹立」の一環に保衛部改編も含まれている可能性がある。韓国メディアは、「正常な国家へ進むことを意図しているのではないか」という国情院の分析も併せて伝えた。
果たして、秘密警察組織の実態に変化はあったのだろうか? 茂山郡の協力者が、「よく知る情報指導員から聞いた」内容も含め、最近把握した変化について伝えてきた。

◆人員増加と独自の拘留場の新設
――情報局に代わってから、茂山郡ではどんな変化があったか?
「保衛指導員という名前が情報指導員に変わった。また、これまで各企業に担当保衛員は1人だったのだが、今は情報指導員2人を派遣するようになった企業が3つある」
――他に、どんな動きがあるか?
「情報局拘留場を新たに作っている。これまで茂山郡保衛部には拘留場はなく、安全部(社会安全省、警察)の拘留場を一緒に使っていたが、安全部の拘留場に入っていた調査対象者全員を情報局の拘留場に移して管理するためだとして、4月15日(金日成の生誕日)を過ぎてから新たに拘留場を建設するということだ。安全部とは徹底して別途管理するために、警護課(容疑者や受刑者の護送などを担当する部署)も新設したそうだ」
北朝鮮では従来から、企業や学校、地域ごとに担当保衛指導員を置いて、住民の動向把握や統制を担わせてきた。協力者は、名称が情報指導員となり、担当する管轄を狭めたと述べた。言い換えると、各所に派遣する情報指導員を増員したと見ることができるだろう。
また、警察である社会安全省と共同で使用していた拘留場を別途に建設し、警護課も別途に新設したことからは、警察機関とは任務と権限を分離する意図がうかがえる。























