
金正恩政権による個人の経済活動の取り締まりが、さらに強まっていることが分かった。両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の取材協力者が4月中旬に伝えてきたところによると、道路脇で行われてきた個人の自転車修理業に対して、家宅捜索をして部品を没収するほどの厳しさだという。(洪麻里/カン・ジウォン)
◆家宅捜索で部品没収も
コロナ・パンデミックを機に、金正恩政権は商行為など個人の経済活動を厳しく取り締まってきた。かつて目利きで商品を仕入れ、ジャンマダン(公設市場)で商売をしてきた個人商人たちも、全て「商業管理所」(消費物資の流通を管理する人民委員会(地方政府)の部署)の管理に組み込まれ、商品の仕入れ先や販売価格の登録が必須となった。
協力者は、最近の新たな取り締まりの動きについて次のように報告する。
「個人の商売を統制していることは知っていますよね。(当局は)商業管理所よりも安く自転車修理をして稼ごうとする人を取り締まろうとしたが、うまくいかなかった。そこで、(個人の自転車修理工は)盗品を扱っているのだと烙印を押し、修理業をしていた人たちが(当局に)呼び出されています。私の周囲でも家宅捜索を受けて、自転車部品を没収された人もいます」
北朝鮮では、1990年代半ばの大経済混乱期に自転車の利用が爆発的に増えた。職場に出ても食糧配給も労賃(給与)も支給されなくなり、誰もがこぞって商売に乗り出した。移動と運搬のため自転車の需要が急増し、日本から輸入された大量の中古自転車が北朝鮮中で使われるようになった。自転車の急速な普及は、パンク修理や部品交換の仕事を生み出した。個人の自転車修理業者は全国でごくありふれた存在となった。
アジアプレスの取材協力者は1月末、個人が自宅で行ってきた衣類の仕立て業への取り締まりが始まったと伝えてきていた。今回の自転車修理工への取り締まりも、金正恩政権がこれまで取りこぼしていた個人の経済活動を国の管理下に組み込もうとする流れとみられる。
◆「自転車泥棒捕まえず、修理工捕まえる」住民不満
こうした当局の規制に対する住民の反応について、協力者はこう話す。
「生活が厳しく、夜間に自転車を奪ったり盗んだりする者もいるが、(警察は)自転車泥棒を捕まえるのではなく、修理で金を稼いでいる人だけを狙ってひたすら叩くので不満が大きいです」
深刻なインフレーションが進行する中、現金収入が減少する都市住民の生活は厳しくなる一方だ。金正恩政権の狙いは、個人の経済稼働を国家が一元的に管理することで、住民統制を強化することと、利益を国庫に吸い上げることだとみられる。今後も個人事業主への規制は拡大していくだろう。
<北朝鮮内部>金正恩政権が衣類仕立て業まで統制 個人の経済活動は風前の灯
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
























