ウクライナ軍がドローンで撮影したとする北朝鮮兵。ドローンに銃を向けて撃ち落とそうとしているように見える。2024年12月23日に公開された

北朝鮮の首都・平壌に「セビョル通り」(新しい星通り)と名付けれた新しい街が登場した。その竣工式が2月16日にあり、参席した金正恩氏は次のように演説したと労働新聞が伝えた。

『セビョル通り』という名は、異国の遠い戦場で、一生をかけても尽くせないほど重い『祖国』を背負い、最期の瞬間まで勇敢だった参戦勇士たちの生の代名詞として、すでに皆の心の中に刻まれています。

「セビョル通り」はロシアで戦死した兵士の遺族のために作られたアパート街だ。

金正恩政権は2024年10月頃から、ウクライナ侵略を続けるロシアに派兵を始めた。韓国政府は、これまで1万5000人以上の軍人が派遣され、戦死者は2000人に及んだと見ている。北朝鮮政府は派兵数、死傷者数を発表していない。

◆英雄になろうと大宣伝

金正恩政権は2025年夏から、戦死者を含む参戦兵士を英雄として祀り上げる大プロパガンダを続けている。記録映画を制作して組織や学校で上映を繰り返し、帰還した参戦軍人を軍部隊や学校に派遣して、「国のため、金正恩元帥のために命懸けで勇敢に戦った」という内容の講演をさせている。

北部地域に住む取材協力者は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州(キルジュ)郡で講演会に参加した女性…高級中学校(高校に該当)に通う子供がいる…に3月に会って話しを聞き、報告を送ってきた。

「行事に参加した生徒たちは、泣きながら話を聞いていたそうです。親たちにも泣く人が多かったとも。その女性は、会場を退出する際に『僕が犠牲になれば、両親は平壌に行けるのかな』という生徒の言葉を聞いたと言っていました。一方で、会場に来ていた親の中には、『息子を英雄になんかしたくない。何かくれるとしても戦争に送り出したくない。死んで英雄になって何になるのか』と語る人もいたそうです」

<北朝鮮内部>ロ派遣兵士を巡回させ「軍人精神」と「英雄」を宣伝(2) 高校生と親にプロパガンダ講演 「元帥様の兵士として懸命に戦った」

<北朝鮮内部>ロ派遣兵士を巡回させ「軍人精神」と「英雄」を宣伝(1) 「戦場でロシアがうらやむほど勇敢に戦った」と軍部隊で講演 迫真映画も制作

ウクライナ軍に捕虜になった北朝鮮兵。2005年生まれだという。韓国行きを切望しているが目途は立っていない。キム・ヨンミ氏取材映像より引用

◆無残な死を遂げていた北朝鮮兵

若者たちは自国の防衛のためでなく、プーチンのロシアの侵略戦争を手助けするために送られた。ウクライナ軍当局は、クルスク州の戦場でドローンに追い回される北朝鮮兵の姿や死体の映像や写真を2024年12月以降、数多く公開している。もちろん、戦死した兵士たちの無惨について、金正恩政権は国民に一切知らせていない。

韓国の紛争地争地専門ジャーナリストのキム・ヨンミ氏は、ウクライナ軍の捕虜になった2人の兵士を、6カ月及ぶウクライナ軍当局との交渉の末に、対面インタビューしすることに成功した。MBC放送で1月に放送され、韓国で大きな注目を集めた。

ウクライナ当局によると捕虜は1999年生まれと2005年生まれ。2人はこう語っている。

「何のために派遣されたのか、何をするのか知らされていなかった」

「銃声と爆弾の音がとめどなく、死体が散乱していた。ついさっきまで立っていた人が、目の前で死んでいく…そんな世界は初めてでした」

「頭にまとも(攻撃を)食らって、一言も発せないままその場で死にました」

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