大阪府立金岡高校(堺市北区)校舎内のアスベスト(石綿)飛散をめぐり府教育庁は、適切な対策なしに3年超放置しただけでなく説明会で保護者に対し、国や専門家の見解をでっち上げた“虚偽”説明を繰り返していた。保護者の証言から明らかになった。(井部正之)

◆石綿飛散でも“安全”と喧伝
「校舎内で危険なアスベストが飛散していたのに、府教育庁は数値的に『安全だ』みたいな感じでいうんですよ。専門家の見解でも『(健康管理などの)対応は必要ない』と。府の説明にはまったく納得できません」
こう言い切るのは、3月卒業の元生徒を子に持つ保護者(30代)だ。4月15日に開催された説明会に出席したが、府教育庁の説明が「あまりにもひどい」と憤慨する。
この問題は、同校の特別教室棟4階で視聴覚教室内(2022年12月3日)と廊下(2025年11月17日)で、石綿が浮遊していたことを府は空気環境測定で把握していたにもかかわらず、適切な対応をせず最大3年超放置。生徒らが約2~3年にわたって石綿を吸っていた可能性があるというもの。
石綿は強力な発がん物質で、吸うと数十年後に中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがん)などを発症するおそれがある。とくに中皮腫は特効薬もなく、非常に予後が悪い。
特別教室棟にはもっとも発がん性の高いクロシドライト(青石綿)の吹き付け材が大量に残存。それが何らかの形で落下・飛散したのか、2025年11月の測定では実際に空気中に空気1リットルあたり0.51本の青石綿が飛散していた。
これは筆者が府に対しておこなった情報公開によって判明。校舎内の石綿飛散に驚いて取材したところ、清掃などの対応をしなかったと認めたため、「対策もなく放置」と3月29日に『アジアプレス・ネットワーク』など報じた(拙稿〈大阪府立金岡高校で何度もアスベスト飛散 対策講じず放置 生徒ら吸った可能性〉参照)。
府教育庁は当初、石綿検出について尋ねても要領を得ず、2025年11月の石綿飛散では1週間後に「客観的な観点から測定」(施設財務課)するため、わざわざ業者を変更する異例の対応で再測定していた。その結果、検出できる最低値を下回る1リットルあたり0.056本未満で、石綿が検出されなかったから対応不要との見解だった。
ところが2012年10月に同校で起きた石綿飛散事故を学識経験者らによる協議会で検証した2018年1月の報告書を調べたところ、「万が一」今回のような石綿飛散が起きた場合の対応を規定。「公表を行うとともに、速やかに学校と連携して立入制限等の措置を講じ、現場状況を確認・点検し、(引用者注:石綿除去で使う)真空掃除機等による清掃活動を徹底的に行った上で、気中濃度測定により適切な処置が行われたことを確認する」と明記されていた。
筆者はこの記載について府教育庁に4月2日に質したが、同14日までに回答がなかったため、いずれの措置も講じず「放置した」と同15日に改めて記事にした(拙稿〈大阪府・校舎内“最恐”アスベスト飛散 専門家会議が求める清掃などの対策「すべて無視」し汚染拡大か〉参照)。
じつは府教育庁が作成し、学校名で同8日に保護者向けに送ったA4用紙1枚の説明資料には「参考」として、「環境省は、総繊維濃度が空気1リットル当たり0.5本程度の数値は、日常生活でも検出されるレベルという見解を示している」と説明。続けて空気1リットル当たり0.51本の青石綿飛散に対する「専門家の見解」として、「健康面での経過観察や健康管理等の対応を今後とる必要がないと判断できる健康リスクのレベル」と解説した。ほぼ同じ説明は、同17日の報道発表にも存在する。
府の説明資料では報告書で定めた対応について触れていなかったが、筆者が府にあらかじめ指摘し回答を求めていたこと、また、その件を批判した記事の配信当日だったことから、説明会でも言及があったという。
「府は2018年の報告書で定めた対応ができてなかったのは『引き継ぎが悪かった』として一言謝罪しましたが、あとはこれ(環境省と専門家の見解)を延々と繰り返すだけ。根拠などの丁寧な説明もありませんでした」と前出の保護者は当時のようすを振り返る。
国が心配しなくて良いと太鼓判を押しているうえ、専門家も対応不要との見解と説明されると、反論は困難だ。約40人の保護者が出席していたというが、多くが黙ってしまったという。























