◆国の見解をねつ造引用

だがこれらの見解は、その場しのぎの虚偽あるいはねつ造といわれても仕方のない、いわば“でっち上げ”説明だった。

まず環境省の見解だ。同省は毎年全国約40カ所で大気測定を実施しているが、青石綿が空気1リットルあたり0.51本も屋内で飛散する状況について、「日常生活でも検出されるレベル」などと断じて説明していない。

同省にそんな説明を府にしたのか尋ねると、「課内で確認したが、大阪府からの問い合わせはなかった」(環境管理課)と府のいう「見解を示している」事実はないと否定した。

では府の主張は何が根拠なのか。

筆者の指摘を受けて同省は府に確認し、同省マニュアルの記載を曲解したものと判明した。

同省「アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)」(2022年3月改訂)には、「一般環境のアスベスト濃度は、近年、濃度レベルが低下してきており、総繊維でも概ね0.5f/L(引用者注:空気1リットルあたりの本数)以下のレベルで推移している」との説明がある。

あくまで石綿以外のたとえば衣類の繊維なども含む「総繊維」の濃度が低下していることを説明した記載が、府教育庁の手にかかれば、もっとも危険な青石綿が0.5本超飛散しているにもかかわらず、同省が「日常生活でも検出されるレベルに近い数値」のため問題ないと評価したかのようにねじ曲げられる。

府教育庁は「理論的には正しいと(同省の)理解を得た」(施設財務課)と反論。

同省は、「(総繊維と石綿繊維で単位が違うため)直接比較するものではないと説明し、理解いただけた」(同)と府の主張を改めて否定した。もはや同省見解のねつ造あるいは同省マニュアルの改ざん引用である。

同省が0.51本の青石綿飛散について、「通常の大気環境中ではない(石綿濃度)」と回答したことからも明らかだ。

実際に同省調査でも、石綿飛散が基本的にない住宅地域など(バックグラウンド地域)で、空気1リットルあたり0.51本の青石綿が検出されたことは、詳細な測定データが公表されるようになった2012年以降、一度もない。住宅地域の平均はわずか同0.088本にすぎない(2024年度調査データから算出)。

府の主張は、「総繊維すべてが石綿の可能性もある」というもの。理論上は起こり得るし、実際にそうした事例もある。ただし高濃度の石綿が飛散する石綿製品工場や石綿除去現場に限ったことだ。

石綿の発生源ではない住宅地域などでは、(解体工事で多量の石綿が漏えいするといったことがない限り)、青石綿が同0.5本超も飛散しているなど通常起こり得ないというのが、同省データを十数年調べている筆者の見解である。

あるいは府は、金岡高校は石綿が高濃度に飛散する除去現場と同等の危険な場所と認識しているということか。

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