大阪府が府立金岡高校(堺市北区)の廊下などでもっとも発がん性の高いアスベスト(石綿)などが複数回にわたって飛散していた問題で、府が専門家会議の報告書が求めていた清掃などの対策をすべて無視していたことが明らかになった。むしろ汚染を拡大しかねない対応をしていた。(井部正之)

◆2度にわたって校舎内で石綿飛散
2月に府に対して行った情報公開請求により、筆者は府立学校における2020年から2025年までの空気中の石綿測定データを入手。資料を精査した結果、府立金岡高校の特別教室棟4階で複数回にわたって空気中に石綿が飛散していた。石綿飛散があったのは視聴覚教室と廊下。2022年12月3日に視聴覚教室で空気1リットルあたり0.057本の石綿繊維を検出。2025年11月17日には廊下で、空気1リットルあたり0.51本の石綿繊維が飛散していた。
石綿繊維は髪の毛の5000分の1と非常に細く、飛散すると長い時間、空気中を浮遊。吸うと約10~50年後に肺がんや中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがんで非常に予後が悪い)などを発症するおそれがある。石綿の発がんリスクにはここまでなら吸っても大丈夫という「しきい値」がなく、とくに中皮腫は少量のばく露でも発症のおそれがある。
しかも、検出された2025年11月に特別教室棟4階の廊下で検出された石綿は、もっとも発がん性の高いクロシドライト(青石綿)なのだ。2022年12月の視聴覚教室での検出では、石綿の種類が特定されていないが、天井裏の吹き付け材に使用されているのと同じ青石綿とみられる。
当然、廊下や視聴覚教室に立ち入れば、石綿を吸ってしまう可能性がある。ところが府教育庁は、2025年11月の石綿飛散の事実を生徒らに伝えなかったうえ、立ち入り禁止や原因究明、清掃などの措置を講じなかった。
府教育庁によれば、窓を開けて「換気をした」(施設財務課)結果、1週間後の再測定で検出できる下限を下回ったという。
府教育庁に2022年12月の石綿検出についての対応を3月23日に尋ねると、「(石綿以外も含む)総繊維数濃度が『1f/L(空気1リットルあたり1本の意味)』を超えていないためアスベストの同定はしておりません」と3月31日に回答。
府の回答は事実ではない。
なぜなら、情報公開で入手した測定結果報告書に、1リットルあたり0.057本の検出が空気中の石綿を調べる「アスベスト繊維数濃度」であることが明記されているからだ。
1週間以上も時間を掛けたにもかかわらず、報告書を見れば一目で確認できる程度の事実確認すらできていないことになる。あるいは、当時本当にそう考えていたのだとすれば、石綿飛散の事実すら理解せず、なにも対応しなかったということだろう。
4月2日に当時の測定が石綿繊維数濃度だったことを府側に資料で確認してもらったうえで、改めて答えるよう求めたが、約2週間後の14日午後6時までに回答はない。
少なくとも2025年11月の検出では、廊下で石綿飛散が明らかになってからも生徒らが危険性を知らされずに利用を続けていたことになり、生徒らが石綿を吸っていた可能性が高い(石綿飛散の可能性があるのは2024年10月25日以降から2025年11月24日まで)。2022年12月にいたっては、現状の回答が事実であれば、府側が石綿検出すら理解せず、視聴覚教室の利用を続けさせたことになる(同2021年10月7日以降から2023年10月27日まで)。新たな事実が明らかにならない限り、府教育庁の対応は安全軽視といわざるを得ない。























