法定協議会をすべて傍聴した木村・元大阪市大教授(10月11日・大阪市浪速区・矢野宏撮影)

■元大阪市立大教授 木村収さん

大阪市役所に勤務した後、大阪市立大教授になった木村収・元教授(地方財政学)は、「都構想」の法定協議会を37回すべて傍聴した感想を述べた。

「学識経験者の意見も聞かず、市民団体も交えず、議員だけで案を作っていることは論外だ。合併を足し算とすると、分割は割り算でまったく次元が違う難問だ。大阪市の廃止と四分割を2025年1月1日に設定しているが、前日までずっと各役所で公務が続いていることが考慮されていない。

府庁職員2000人がWTCに移るだけで15億円かかった。3万5000人の市役所業務を分割移転する費用を13億円しか計上していない。しかも正月に一気に市を廃止・分割することは不可能であり、行政に未曾有の混乱をもたらすことは疑いない」

■帝塚山学院大教授 薬師院仁志さん

薬師院仁志・帝塚山学院大教授(社会学)は「住民投票で市民の判断に委ねるのは、その政策にデメリットがあるからだ」と看破し、「四つの特別区を設置する初期費用を600億円から241億円に減らしたというが、新しい庁舎を用意しないという無茶な計画だ。大阪市廃止後、淀川区の職員の8割近く、天王寺区の職員の半分以上は、北区にある中之島庁舎に間借りする。これでは費用の節約ではなく、将来に先送りしただけのことだ」と批判した。

■梅花女子大講師 大神令子さん

大神令子・梅花女子大講師(キャリア形成論)は、「都構想」の制度設計である協定書に成立後の具体的な市民の生活がどのようになるかが書かれていないと指摘。「社会保障、セーフティネットがどう変わるのか保障がない。このような制度設計では市民を守るべき行政の責任は果たせない」と懸念を示した。

 

「外国籍住民をは除した『都構想』に大阪の未来はない」と批判する朴・大阪市大教授(10月11日・大阪市浪速区・矢野宏撮影)

■大阪市大教授 朴一さん

朴一・大阪市大教授(国際経済学)は「大阪市には現在、14万を超える外国籍住民が居住している。人口の5%、20人に1人だ。万国博を開催し、カジノで外国人を呼び込むといいながら、今回の大阪市の廃止、特別区への再編をめぐる住民投票でも外国籍住民は排除されている。大阪市でも、今後、少子高齢化が進むなかで、外国人にも魅力的な街づくりを進めていくうえで、外国籍住民の声も反映する市政改革が必要だと思われる。大阪市の解体、特別区への再編をめぐる住民投票にも条件を満たした外国籍住民を参加させることが必要であるが、外国籍住民の声を反映させる仕組みがまったく見られない。外国籍住民を排除した「大阪都構想」に、大阪の未来はない」

■立命館大教授 森裕之さん

地方財政学が専門の森裕之・立命館大教授は、「都構想」で大阪市民の税金の4分の3が大阪府税に変わると説明。「大阪府が特別区にどれだけ再分配するかは府議会が毎年決める。大阪府内の人口のうち大阪市には3割しか居住しておらず、特別区は絶えず財政削減の圧力を受ける」と強く告発した。 この日までに130人の学者から所見が寄せられ、5年前の108人を上回った。